Log770 レイネシアside ページ30
レイネシア「ただいまシロエ様が話された通り、ヤマトの大地は危機を迎えています。
包み隠すことなく申し上げますが、皆さんもご存じのヤマトの管理者、守護神たる〈イズモ騎士団〉はその行方もしれず、今回の件に対して〈自由都市同盟イースタル〉は自らの力のみを以て対処しなければならなくなりました。
こたびの〈
もちろん我ら〈大地人〉にも城壁と防御結界魔法があり、兵士達がいます。
が、ひとたび戦となればそれらの効果が何処まで当てになるかは未知数です。
いまこの瞬間も、我ら〈大地人〉の同胞は、父祖の地を守るために、剣を磨き、城壁を手当てし、戦の支度を調えているとわたしは信じています。
が、それだけではやはり多くの流血は、避けられないでしょう。」
私は視線を遠くへ投げる。
そこに映っているのは、目の前の群衆ではなく、数時間前までの光景だった。
レイネシア「恥ずかしい話ですが、我ら〈自由都市同盟イースタル〉はこの期に及んでも、互いの意見を一致させることが出来ないでいます。
ここへやってくる直前まで行なわれていた会議でも、自らの領地の安全を求める余り協力さえ出来ないでいました。
あまつさえ…。」
言葉が、詰まる。
だが、止めることはもはや出来ない。
レイネシア「あまつさえ、我らが父祖の地を守るという神聖なる義務を、新興たるアキバの街の〈
不死たる〈冒険者〉――皆さんの力を当てにして、その武力を持って我と我が身を、領土を守ろうとしていたのです。
わたしにその資格はないのですが……申し訳なく思います。
そしてより申し訳なく思うのは、わたしもまた、そのむしの良いお願いをしに来たからです。」
私は気が付かなかったが、シロエ様の選んだ〈
朝焼けの光で見る私は、誰もが憧れる戦の女神そのものだったのだろう。
だけど、私は知らない。
〈冒険者〉に向かって訴えかける私の後ろで、シロエ様がわずかに横を伺い片目をつぶったことを。
☆★☆
2019/12/16
6人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:豆乳ココア | 作成日時:2019年12月4日 20時