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Log484 シロエside ページ38
そのヘンリエッタさんが、大ホールの中央で僕の腕に収まり、くるり、くるりとターンを繰り返す。
無理に僕にステップをさせずに、自分から積極的に動くヘンリエッタさん。
やがて僕もその動きに慣れてくる。
そもそも異世界における肉体は現実世界の数十倍も高性能なのだ。
敏捷性も体力も、魔術師系の職業である僕だとて、現実のネット中毒気味な【本当の肉体】に比べれば超人的に高い。
ヘンリエッタさんが動きたいイメージを漠然とだが把握し始めた頃、ヘンリエッタさんは胸元で小さな八分音符を弾けさせる。
ヘンリエッタ「だいたい判りました？
シロエ様。」
シロエ「ん。
だいたいは。」
ヘンリエッタさんは小声で囁きながらも、小さな八分音符を弾けさせるのをやめない。
Ｃはオレンジ色。
Ｄは黄色。
Ｅは黄緑色で、Ｆは鮮やかな碧色。
Ｇの音は文字通り空の色で、Ａは素晴らしい紫。
そしてＢはラズベリーと夕焼けの中間のような赤い色。
僕にどうやってそれを見せているのか、どうして会話をしながら続けられるのかもまったく判らなかったが、ヘンリエッタさんの胸元からこぼれ出す色とりどりの音符は、まるで小さな妖精のように二人の周囲を漂っては空気に溶けてゆく。
☆★☆
2019/11/19
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作者名：豆乳ココア | 作成日時：2019年11月9日 23時
