孤独なサモナー[9] (ページ35)

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Log481 シロエside ページ35

広場いっぱいの参加者達が自分のことを観察しながら小声でくすくす笑ったり品評しているという妄想がぬぐえない。

ヘンリエッタ「よろしいですわ。
その姿勢のまま私の腰に手を……。
いえ、もう少し上です。
……そうそう、ウェストの裏側に手を添えるような感じですね。」

シロエ「告白しますけれど、僕、ダンスなんてまったく出来ませんよ？」

ヘンリエッタ「あら。
こんな姿勢で告白だなんて云われると、照れてしまいますわ。」

ヘンリエッタさんは僕を見上げて微笑む。

パーティードレスに合わせるためだろう、いつものキャリアウーマン風リムレス眼鏡を外した瞳は思ったより大きく見えて、そんな風に微笑まれると僕としてもどぎまぎしてしまうのだった。

シロエ「そうじゃなくて。
誤魔化さないで下さいってば。」

ヘンリエッタ「シロエ様？
私の職業をご存じでしょう？」

シロエ「それは〈会計士〉――あ。」

視線を伏せたヘンリエッタさんはシロエの胸元辺りを見つめたまま、耳を澄ませて小声で呟いている。

それは小鳥の囀りのような、細く、聞き逃してしまいそうな程に小さな歌声。

初めて聞いたはずのワルツ曲を、ヘンリエッタさんは先行予測してタイミングを計る。

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2019/11/19