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セルジアット「孫娘なのだよ。
レイネシアといって今年15になった。」
セルジアッド公爵は目を細める。
すると貴族然とした貫禄が和らぎ、愛しげな表情になるようだ。
セルジアット「諸君らには馴染みがないだろうが我々のしきたりでね。
適齢期に達した淑女は、舞踏会においておいてデビューする。
明日から続く十日間の会議は、〈自由都市同盟イースタル〉の諸問題を調整する場であると同時に、わたし達の交流の場でもあるのだ。」
なるほどね。
セルジアット「われわれ貴族はその領地を守るために身命と普段蓄えた武力や財力を利用するが、この過酷な世界においてそれでは十分とは云えない。
いや、十分と云える備えなど何時になっても得られる保証などはないのだがね。
それでも、友人や縁戚というものは、剣や金貨や城壁といったものよりも、時に自らと自らの領民を守る助けになってくれるものなのだ。」
多少は打ち解けてきて貰えたのか、セルジアッドさんはクラスティとミチタカさんに自分たちの社交界の意義を説明している。
クラスティ「それは絆ですね？」
クラスティは尋ねた。
ミチタカ「判ります。
わたし達もギルドと云う集団を作り、仲間で支え合う。
家族のようなものです。
時にはギルドの枠を越えて助け合う。
それも〈
ミチタカさんがその言葉を継いだ。
綺麗事ではあるが、この場においては綺麗事が相応しいのだ。
セルジアット「その通りだとも。」
セルジアッドさんもまた、その言葉に我が意を得たとばかりに微笑みを返す。
二人とセルジアッドさんが、話ながらも視線で追いかける先では、三人の娘が今まさにホールの中央に進み出たところだった。
その手を壊れ物のように支えるのは、領地の騎士なのだろうか。
いずれもなかなかの伊達男である。
ミチタカ「皆さんお美しいですね。」
ミチタカさんがそう評する。
商人らしい賛辞だったが、ミチタカさんとしても嘘をつく手間が省けて気が楽だったろう。
今回に限ってはお世辞を言う必要は無いのだ。
中央を一歩進み出たのは、15歳という年齢よりは幾分華奢に見えるが、ほっそりとした首筋を持つ儚げな印象の美しい少女だったのだ。
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2019/11/19
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作者名：豆乳ココア | 作成日時：2019年11月9日 23時
