Log457 ミノリside ページ44
海が近いこの地方では、河を下り漁に出るのだろう。
こうして少しさかのぼった地点の小屋に小舟をしまえば、海が荒れてもダメージは受けないという知恵なのかも知れない。
マリエールさんの話では、漁師を営む〈大地人〉がその川沿いでは暮らし、もう少し河口の方へと近づけば〈大地人〉の暮らす町もあるのだという。
再び大河のほとりを離れて、杉の生い茂る林をぐるっと迂回した私達が辿り着いたのは、さしわたし500mはあるかのような貯水池だった。
池のそばにはこの辺りでは珍しい、鉄筋コンクリートの廃墟が余り古びれもせず立っている。
トウヤ「わお!
これって学校じゃん!」
トウヤが云ったとおり、それは旧世紀の学校校舎のようだった。
そう思って見直してみれば、廃墟の正面に広がる平地はグラウンドだったのだろう。
もはやフェンスの金網や、付属する体育館などは見る影もないが、確かにそのような面影が残っている。
マリエール「おーっし!
みんなぁ!
今日からしばらくのあいだ、ここがうちらの寝床やで!
事前に班分けしていたとおり、今日は教室三つを掃除する。
1階の東の端から三つや。
一部屋二十人で寝泊まりする予定。
……余裕を持ちたかったら明日からも掃除して、何とか住みよくするんやでぇ!」
マリエールさんはあの陽気で物怖じしない笑顔で大きな声を出す。
校舎の中からは先行偵察と先乗りをしていた、大手ギルドのメンバー達も出てきて、新人プレイヤーに混じって働き始めた。
マリエール「今晩の食事は、グラウンドでバーベキューやで!
だから昼はお弁当パンでがまんしたりぃな〜。
それから、えーっと、三班。
と〈料理人〉スキル持ちはうちと一緒に、村への買い出しいくで!
村長さんにも挨拶に行くから、失礼の無いように。
出発は30分後。
では作戦開始や!」
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2019/11/15
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作者名:豆乳ココア | 作成日時:2019年11月9日 1時