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初日が故。 ページ5

『「………」』


……『ねぇ、何を怒っているの?中也君。』

「別に怒ってねェよ。」
嘘でしょ君、眉歪んでますが。


怒っている中也君を信号の度に一応確認しながら車を走らせていた。

家に着く二つ前の信号で見た時だった。
私はぎょっとした。



あまりに静かだと思っていたら、幸せそうな寝顔があったのだ。

……もう着くんだけど。
私は小さなため息を吐きながら中也君の頭を撫でた。

__お疲れ、中也君。


車庫に車を止め、助手席に回る。
『……仕方ないなぁ』

腕を伸ばしてシートベルトを外し、中也君の膝の裏に腕を入れると起こさないように抱き上げた。
ふわりと舞った石鹸のような柔軟剤の香り。

つい匂いを嗅いでしまったのはきっと不可抗力だ。


寝室に入って中也君を寝台に横たわらせると前振りなく目が合った。
「……悪ィ、寝ちまった。」

『大丈夫だよ。このまま寝て朝お風呂入るかい?』


「…おう、そうする。」

『了解、おやすみ。』
中也君は少しはにかんだ顔でこう返してきた。


「おやすみ、A」



お風呂や明日の外交の流れを最新の情報から予測し直す事を終えてから、寝相の悪い中也君の眠る寝台の端に潜り込むとすぐに眠気が上がってきた。

『…………。』
掛け布団の中を見ると、此方側には中也君の足は無い。
私は布団の中を移動して中也君の近くまできた。


「____ン、A…」
ぎゅうっと頭をホールドされたと思えば、長い足も巻きついてくる。
…あったかい。



小さい子でも一日でこんなに警戒を解かないと思うんだが…、

まぁ、悪い気もしないから良いか。


 |



起きたら吹っ飛ばされた。

『………な、何…?痛いんだけど…』私が床にぶつかり、痛む背中をさすりながら起き上がる。
「五月蝿ェよ……ッ!何で引っ付いてんだ!!」
朝から怒られる私可哀想。


『否…どっちかというと抱きついたのは君の方……』

「はァ………!?んな訳……ッ」
思い当たる節でもあるのか真っ赤な顔で中也君は固まった。



『……否、まぁ…、準備しよう?ね?私も幸せだったから気にしないで?』

「なッ…!?幸せって何だよ…!!」
『噛みつかない噛みつかない。さ、朝ごはん作るからさ。準備しておいで』

思春期だなぁ、なんて思いながら立ち上がると襟首が絞まった。
「おい待て。」

振り向くと中也君が私の寝巻きを掴んでいた。
「俺が作る。手前が準備してろ。」



何か酷い勘違いを受けてる気がする。

6→←大幅な一日。



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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 中原中也 , ポートマフィア   
作品ジャンル:恋愛
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落蕾 - 「デンコって何だ?」と調べてしまった私が居た。 (6月6日 0時) (レス) @page8 id: 32354343cf (このIDを非表示/違反報告)
マカロン(プロフ) - 駄作上手さん» 何時でも待ちます!!! (2023年4月19日 18時) (レス) id: 257ffb0b71 (このIDを非表示/違反報告)
駄作上手 - マカロンさん» 喜んで貰えて嬉しいです!遅くなってすみませんでしたm(_ _)m (2023年4月18日 21時) (レス) id: 374e2a6f44 (このIDを非表示/違反報告)
マカロン(プロフ) - 駄作上手様有り難うございます•••!中也の甘えん坊が可愛すぎてヨダレがッ!!!← (2023年4月18日 18時) (レス) @page7 id: 257ffb0b71 (このIDを非表示/違反報告)
マカロン(プロフ) - 有り難う御座います!楽しみにしてます!! (2023年3月23日 16時) (レス) id: 257ffb0b71 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:駄作上手 | 作成日時:2023年3月23日 1時

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