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9話 By春雨 ページ10

菜種side

「起きてください」

そう声をかけられたあたしは、自分でも驚くほどあっさりと目を覚ました。

眠りが浅かったのかもしれないと、そんな事を考えつつも少しぼやけた視界に映る人を見つめた。

眼鏡をかけた男の子の顔を見つめるうちに此処は何処なのか、今どういう状況なのか、等と疑問が脳内を駆け巡る。

でも結局、そんなあたしの口から放たれた言葉は、

「…誰?」

…という、この状況においての第一声としては拍子抜けするような言葉だった。

しかし目の前の彼は表情一つ変えずに口を開く。

「いや…僕の事は後でいいんです。それよりもまずは、他の人を起こすのを手伝ってもらえますか?」

そう言われて少し身を起こすと、ようやくはっきり見えるようになった目に、何人かの姿が飛び込んできた。

10人以上はいるだろう。その内の数人はまだ眠っているようだ。

…なるほど、今は自己紹介や状況処理よりもやるべき事があるのね。

「わかったわ。あたしも……っ」

立ち上がろうとした瞬間、両の目の奥がズキリと痛んだ。

顔を歪ませるあたしに、「どうしました?」と不審そうに問いかける男の子。

「…ごめん、少し気分が悪くて。やっぱり休んでていいかな?」

あたしがそう言って苦笑いを浮かべると、未だ不審そうに眼鏡の彼は「はあ」と曖昧な返事だけすると、すたすたと歩き去ってしまった。

…いや、余計な詮索をされるよりかは良かったかも。

それにしても、先程まで結構寝ていたと思うんだけど、まだ私の寝不足は改善されていないのか。
というかかなり酷いじゃん。

そう思いながらその場に座る。

でもまあ、前よりかは痛みは引いているようだ。先程はびっくりしたけど、今は微かに痛みを感じる程度だからその内治まるだろう。

とは言っても下手に動くのは少し怖いので、休むという選択をしたのは正解だったかも。

同い年くらいの人達がこれまた同い年くらいの人達を起こしてまわるという若干シュールな光景を見ながら、あたしはそんな事を考えていたのだった。

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riiu(プロフ) - 更新しました! (2020年2月16日 14時) (レス) id: d32ce14729 (このIDを非表示/違反報告)
riiu(プロフ) - 了解です!では探索の方いきますね!更新します! (2020年2月16日 13時) (レス) id: d32ce14729 (このIDを非表示/違反報告)
くろーさぎ(プロフ) - 春雨さん» すみません!!どうしたら良いのかと思っていたのですが……話を進められそうなら進めて構いません!グループを組む場面でも大丈夫です! (2020年2月16日 13時) (レス) id: 472ca3e356 (このIDを非表示/違反報告)
春雨(プロフ) - riiuさん» 主催者でない私が意見するのもどうかとも思ったのですが、私はグループ組んだ後の話を進めてもいいと思いますよ。確かに話が大幅に進んでしまうと不味いかもしれませんが、現段階ではそこまで大幅に話が飛んだりはしないと思いますし。 (2020年2月16日 13時) (レス) id: 55d503be78 (このIDを非表示/違反報告)
riiu(プロフ) - えーっと…更新したいのですが、まだ話の中でグループが組めてない子達がいるので、そちらを先にやった方がいいでしょうか…? (2020年2月16日 12時) (レス) id: d32ce14729 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:才囚学園生徒一同 x他4人 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年8月21日 21時

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