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そういうことで、京介にベタベタし始めてから約一週間が経った。三、四日経った辺りから距離感に京介が訝しげに私を見ているときがあるので、そろそろ相手のしっぽを掴みたいところである。
「ある程度絞れてきたわよ、有力なのは三人」
お昼休み、気分転換にと屋上でご飯を食べながら桃奈と作戦会議。
「野村菜々美、北原梨花、佐東真穂。一番の有力候補は個人的には真穂ね」
「なんで？」
「そもそもこの三人は昔っから京介絡みで問題、ってほどでもないけど厄介な話が多いんだよね。ちょっと仲良さげに喋った子に対して媚びてるとか言ったりのけ者にしたり」
典型的な恋するいじめっ子じゃん、と私は眉をひそめた。
「ただ菜々美は今彼氏いるし、梨花もここ一年はあんまそういう話なくて」
へぇ、と相槌を打つ。
「ちなみに京介それ知ってんの？」
「知ってるわけないでしょ。あいつがそういうこと知ったら自分たちのことどう思うか分かってるから、あいつとかあいつの周りの男子に分からないようにやってんの」
「姑息〜〜〜」
ずこっ、と紙パックの中の午○ティーをストローで吸った。美味しい。
「んで真穂は今年はクラス違うけど去年までアイツと同じクラスだったから、まぁそれはもう。係とか委員会でちょっと喋って笑ってるだけで言い掛かりつけてくる始末だったから、女子みんなもうそもそも京介と喋ってなかったよ」
まあ私はそんなのガン無視して普通に話してたけどね、とカラカラと笑う桃奈。
「今年はクラス分かれたから暫く音沙汰なかったんだけど。真穂がいるクラスの友達が、アイツが最近また不穏な話してるって言ってたんだよね」
「ほぼ確定じゃない？それ」
うんと彼女は頷きながらパンをかじった。なるほどね、と頬に手をやるとこちらに質問が飛んでくる。
「んで、前にタイマンするとか言ってたけど。どうすんの？」
「え？相手に手を出させたところを録音してPTAに投げる」
「あんたも大概ね...」
そうかなぁとしらを切って、おにぎりにかぶりついた。
「向こうから接触があればそれでいいし、なければ次に仕掛けてくるタイミングを押さえてそれも証拠にする。そんな執念深い人なら今私が京介にベタベタしてんのも腸が煮えくり返ってるでしょうよ」
そんなに好きなら、周りを牽制するんじゃなくて自分が彼に近づく努力をしなさいよ。
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作者名：てくの | 作成日時：2022年10月11日 18時
