ヒーローになりたいから ページ27
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15人が意識不明の重体、11人が重軽傷を負って、そして爆豪は攫われた。
ピクシーボブは重体、ラグドールが行方不明。
そして、私は無傷だ。傷一つ付けられていない。
当然だ、何もしてないから。何もできなかったから。
雄英は大問題になっている。
メディアのどこを見ても雄英の話題ばかり。しかもそれのほとんどが雄英に対して批判的な内容だ。
さらにはヒーローへの信頼さえも揺らいでいる。
…モヤモヤする。友達が攫われているのに、友達が怪我しているのに。雄英を憎んでもおかしくないはずなのに。
どうしてもメディアの方に憎しみが向かっていく。
SNSで批判している人も、テレビの中で批判している人も、何も知らないくせに。
何も知らないくせに、目についた表面だけで全てを批判する。それが世間というもの。
どうしても心苦しくて、あまりスマホなどを見ないように過ごして。
私は皆が入院している病院に足繁く通っていた。
「…あ、緑谷！目覚めてんじゃん！」
今日は無事なA組の皆と一緒にお見舞いに来ていた。
上鳴のその声に、無意識に下を向いていた顔をあげる。
そこにいた彼は両手も頭も包帯で巻かれていたけれど、目がぱっちり開いていて。
…本当によかった。
皆が彼に話しかけていた時も、16人である経緯を説明していた時も、会話に参加できなくて。
ぼやけ始めた視界を、必死にクリアにしようと瞬きをしていた。
「…オールマイトがさ、言ってたんだ。手の届かない場所には助けにいけないって」
彼のその言葉に、職場体験の時のフローさんを思い出す。私は保須にも助けに行けなかった。
ヒーローはいつでも助けに行けるわけじゃない。私が思っているよりもよっぽど世界は理不尽だ、と。
でもその後、彼女は続けた。オールマイトを感じてそれを伝えたら、“オールマイト好きなの“と笑っていた。
「だから、手の届く範囲は必ず助け出すんだ。僕は手の届く場所にいた。必ず助けなきゃいけなかった、僕の個性はそのための個性なんだ…！相澤先生に言われた通りになった、」
手の届く範囲は必ず助け出す。そうして、“助かった“という笑顔を見て、原動力に変えてまた頑張る。
単純だけど、私はそうやって頑張ってる、と。フローさんは言っていた。
「体、動かなかった…！洸太君を助けるのに精一杯で、目の前にいる人を、僕は…！」
私なんて、何もしなかった。動きもしなかった。…だからさ、
「今度は助けよう」
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なんなん(プロフ) - 野菜さん» ありがとうございます＞＜！！！ (2021年9月12日 22時) (
レス) id: dff1beac48 (このIDを非表示/違反報告)
野菜 - 主人公の段々強くなって行く姿が良い！！ (2021年9月12日 17時) (レス) id: 0ac70a73d6 (このIDを非表示/違反報告)
なんなん(プロフ) - みかんさん» ありがとうございます！！励みになります◎ (2021年9月9日 23時) (レス) id: 03513d5678 (このIDを非表示/違反報告)
みかん - 1、2、3と読ませて頂きました！お話がいい感じに原作に沿っていてめちゃくちゃ好きです…！！お話の更新毎回楽しみにしてます！ (2021年9月9日 16時) (レス) id: 113c0ba69b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なんなん | 作成日時：2021年9月9日 16時
