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「植村さんっ!」
「ん?」
「屋上に行けば良いんだよね?先行ってるよ?」
「あ、うん!私もすぐ行くね!」
そう言うと、加島くんは教室から出て屋上へ向かった。
「Aにはまだ、もう一つやるべきことがあったね。行ってこい!」
夏帆ちゃんは、お姉ちゃんみたいな感じで言う。
私はその言葉に『うん!』と返して教室から出ていく。
屋上に着けば、もう加島くんは着いていた。
策にもたれていた。
「ごめんね、急に呼び出したりしちゃって…」
「ううん、大丈夫だよ」
そう会話すると沈黙が流れてしまう。
私は頑張って沈黙を破ろうとした。
「加島くん卒業おめでとう」
「植村さんもおめでとう」
お互いに『おめでとう』を言い合う。
私はついに言おうと決意をした。
「あ、あのね。私加島くんに伝えたいことがあるの…!」
私はギュッと拳を握る。加島くんは首をかしげて『何?』と言う。
「……中1の時に私が困っているときに助けてくれたり、中2の夏に一緒に夏祭りに行けて本当に嬉しかった…」
私は最初に全然まとまっていないような話し方をする。語彙力がなくて伝わっていないと思っていた。
それでも、加島くんは聞くたびにうんうんと頷いてくれた。
「私ね、好きなの……!」
「え…」
「いつも笑っているところもみんな優しいところも、加島くんの全部大好きなの…!」
私でも驚くぐらい声を出していた。
私は怖くて下を向いてしまった。
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作者名:咲乃ほしは | 作成日時:2020年3月6日 15時