検索窓
今日:6 hit、昨日:3 hit、合計:16,266 hit

envy ページ10

.




『っ』

「あら、ごめんなさい」

『……いえ』


専属になったからといって、そこまで今までとは変わらないと思っていた。だが、そんな考えは甘かったようだ。まず、今まで勉強していた魔法や座学、礼儀作法、そしてレオナ様を守るための体術の勉強が今までの何倍も厳しくなった。

それと、今のように他の使用人から妬み嫌がらせをされるようになった。まぁ、自分よりも幼い私が出世するなんて嫌だろうし、それは仕方ない。私が社畜だから我慢できたけど、社畜じゃなきゃ我慢できなかった。つまり、社畜は最強ってワケ。

だからといって、今の私はまだ子供なわけなのだから大人が子供に嫌がらせをするのはどうかと思うが……。陰湿な嫌がらせばかりなのも、さすが王宮に仕えるだけの頭はあるというか。なんというか。


『疲れるなぁ……』


紅茶が飲みたい、甘いケーキが食べたい、ふかふかの布団に入って寝たい。なんて溢れ出る、叶うことのない欲望が私の頭を埋め尽くす。ちょっとくらい贅沢はしたくなる。華金がない分余計にだ。まぁ、社畜に華金なんてあったようで無かったものだけど。


「おい」

『なんでしょうか、レオナ様』


突然、後ろから声をかけられたかと思えば、そこにはこちらを見上げるエメラルドの瞳が二つ。少し視線を彷徨わせてから「来い」と一言。これが死刑予告か……。

私は短い人生だったと、心の中で泣きながらも尻尾を揺らすレオナ様に着いてゆく。しばらくすると、たくさんの種類の植物が植えられた王宮の端へと来ていた。わぁ、お花が綺麗。


「これ、できるか?」

『……たしなむ程度には』

「相手をしろ」

『承知いたしました』


私はレオナ様と向かい合うように、一つだけ置かれていたソファーに座った。私とレオナ様の間にはチェス盤と駒。どうやら死刑予告ではなかったらしい。ふぅ、安心した。

それにしても、チェスなんて久しぶりだ。お母さんに誘われてよくしていた覚えがある。勝てた記憶がないことは言わないでおくが。

*→←Profile



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (54 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
192人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

地獄の番人 - ありがとうございます!! (2023年4月23日 19時) (レス) id: 7578fd3293 (このIDを非表示/違反報告)
地獄の番人 - 続きを愚かな私めにお恵みください!!お願いします!! (2022年11月8日 19時) (レス) id: d126292683 (このIDを非表示/違反報告)
地獄の番人 - あ‘‘あ‘‘あ‘‘ぁぁぁ面白いよ〜とても面白いよ〜。好きです。続きを楽しみに待ってます!! (2022年9月13日 23時) (レス) @page18 id: d126292683 (このIDを非表示/違反報告)
A(プロフ) - めちゃくちゃお話が好きです!更新待ってます! (2021年11月1日 23時) (レス) id: 373120d77d (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:さぶ | 作成日時:2021年10月12日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。