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『……降参です』


私は、チェス盤に置かれている駒を長い時間見ていたが、動いたのは駒を置く手ではなく、自分が負けを認める口の方だった。そんな私を4年経ってやっと負かすことができたのが嬉しいのか、レオナ様は満足気に頬を緩めた。

レオナ様も強くなったなぁ、なんて我が子の成長を感じて感動する、どこかの親のような気持ちになる。私がそんなことを思っているとレオナ様が私を呼んだ。


『なんでしょうか』

「外に行きたい」

『外、ですか?』


外、つまりレオナ様は街に行きたいということだろう。私は、レオナ様の言葉に少し頭を悩ませた。
できることなら私は行かせてあげたいが、レオナ様は王族であって刺客も多いわけである。そんなレオナ様が外に出るお許しをファナレス様が出すかどうか……。

私が唸っているとチェス盤が置かれた机に手を乗せて、身を少し低くしてこちらを見あげるレオナ様と目が合った。


「ダメか?」

『……分かりました』


上目遣いで頼まれてしまえば断るなんて選択肢など私にはなかった。それに、耳がペタンって!ペタンはずるいじゃん!!

獣人だからできたこと。なんてどこかのCMを脳内で再生させながら、最悪の場合のことを考える。といっても、もう選択肢は一つのようなものであり、もし許可が降りなければバレないように連れ出すしかない。

まぁ、何事も無かったように帰ってくれば怒られることもないだろう。いや、バレてしまったら怒られるどころでは済まないのでは……?
考え直してみれば、私は危険な綱渡り状態だった。即クビ、なんて言葉が頭に浮かぶ。あぁ!考え直さなきゃよかった……!
でも今更行けないなんて、あの顔見ちゃったら言えないんだよなぁ……。

先程のレオナ様の嬉しそうに頬をゆるめる顔が頭に浮かび上がった。


『……頑張ろ』


私の生死を掛けた約束が結ばれたのだった。

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地獄の番人 - ありがとうございます!! (2023年4月23日 19時) (レス) id: 7578fd3293 (このIDを非表示/違反報告)
地獄の番人 - 続きを愚かな私めにお恵みください!!お願いします!! (2022年11月8日 19時) (レス) id: d126292683 (このIDを非表示/違反報告)
地獄の番人 - あ‘‘あ‘‘あ‘‘ぁぁぁ面白いよ〜とても面白いよ〜。好きです。続きを楽しみに待ってます!! (2022年9月13日 23時) (レス) @page18 id: d126292683 (このIDを非表示/違反報告)
A(プロフ) - めちゃくちゃお話が好きです!更新待ってます! (2021年11月1日 23時) (レス) id: 373120d77d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さぶ | 作成日時:2021年10月12日 19時

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