扉を通った先には ページ35
「扉が開いたってことは、出て追いかけろってことでいいんだよな」
「罠かもな。そもそもフェーブだなんだって考えたのが間違いの可能性もある」
そんな僕らの不安を消すようにエミリコが言う。
「さあ行きましょう！ 主人のことを心配するのは 余計なことではないですよ！」
庭を出ると、エドワードが立っていた。
「思ったより遅かったな。お前たちは大事なことも考えないのか？」
エドワードが煽るかのように言っていたが、そんなことどうでもいいカトレア様はどこだろうか。
「お影様達はどこですか？」
エミリコが気になっていることを聞いてくれた。
「主人を無事に助け決められた時間以内に庭園の出口までたどり着くこと。簡単なルールだろう？」
「無事に助けって一体何をしたんだ！」
「心配だろう？ 大事だよその気持ちは」
心配もあったが、僕はシャドー家の方にそんな仕打ちをするエドワードに怒りを覚える。
「だいたいいくら特別な生き人形であろうと、シャドー家の方をそんな風にあつかっていいんですか？！」
シャドー家の方を大切に思うことのどこが余計なことなのだろうかと僕は憤りを感じていた。
「その疑問は余計なことだ、よく考えろ。考えるべきことと考えなくていいことを。貴族として当然のルールは守ってもらおう」
生き人形は顔を傷つけてはならない。シャドーは服を汚してはならない。これがルールらしい。
このルールはカトレア様に共有されているのだろうか。 いやそもそもカトレア様なら抵抗するはずだ一体何があったんだろうか。
次にここまでの順位についてだと説明がされる。
「上からルウ、レア。ショーン、リッキー。ラム エミリコ。結果を残したものにはいいものがある。あれを見たまえ」
そう言っているエドワードが指さした方を見ると、数々の道具が揃っていた。
「上位の者から選んで良い」
カトレア様ならきっと先を譲るだろうと思った僕はルウに先を譲ることにした。
「先にいいよルウ！」
「じゃあ……私から」
「畜生！ ずるいぞ！」
リッキーがそう反発するがルウが反論する。
「ズルくない私とレアはあなたより上の順位」
リッキーがまたイライラしている。
こんなに怒りやすかったっけ。いやきっと、リッキーもパトリック様が心配なのだろう。
そんなことを考えているとルウが小石を拾って投げていた。何をしているんだろうか？
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作者名：空瀬 | 作成日時：2023年11月2日 23時
