立派になるために (ページ29)

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顔に性格はあるの？ページ29

「ルイーズも何か食べようっと！ねえあなたケイトって言うのね！これまで他のシャドーと会うことがなかったから不安だったわ！」

「そう？仲良くしましょうね」
「いいえ。仲良くしなくていいわ」

カトレア様がお茶を嗜んでいる最中にそんな声が聞こえてくる。カトレア様はお茶が好きなようだ。

「みてみてっ。ルイーズの顔とっても綺麗じゃない？」どうやらルイーズ様は自分の顔が大好きなご様子。話を盗み聞きしているかぎり客観的な意見が欲しかったようだ。

するとパトリック様が声を出す。
「ふん！大した顔とは思えないな」
「なんですって！」

「パトリックの顔をみろ。完璧だ。お前みたいな……」
随分な物言いをする方だなと思っているとパトリック様が言葉に詰まる。
それを助けるようにリッキーが発言した。

「張り付いた笑顔ののぼせ上がった女」
「そう！そんな奴にはできない表情だ」

お茶をのみ終わったカトレア様が反応する。
おそらく酷いことを言われているルイーズ様を助けるためだろう。それなら僕はカトレアの顔として行動するだけだ。
「そうかい？カトレアにはルイーズの顔もなかなかやると思うけどね！」

「あらっ。あなたなかなか見る目があるのね！あなたの顔もなかなかいいじゃない！」
カトレア様とルイーズ様が仲良くなっているようだ。僕も他のお影様に褒められて嬉しくなる。

「それに比べて……ひどいわっ。最悪の顔ね！」
「最悪？違うねパトリックの顔は性格も素晴らしいんだ」
困惑した様子のカトレア様とルイーズ様。それもそのはずである。

「……？顔に性格があるわけ？」
「そうさ！顔はカトレア達を目立たせるためにあるんじゃないのかい？顔は自分と同義なのだから」

僕は笑ったような表情を作っておく。するとエドワードがルイーズ様の置物とカトレア様の置物を上にあげる。

するとパトリック様が取り繕うかのように言う。
「ちっ、違う！表情にパトリックの性格が滲み出て素晴らしいということだ！」
ルイーズ様はどうでも良さそうに話を聞いていた。

少し顔としてしか見られていないのが悲しい気もしたが気のせいだと思うことにした。僕はカトレア様を目立たせるためのものでしかないのだから。