勝利のパン ページ25
「さあ お祝いにパンを食べましょう！」
お腹も空いていたことだし 僕はパンを貰う事にした。
「俺はいらないって」
ぐぅぅとお腹の音が聞こえてくる やっぱりお腹すいてるのに素直じゃない子だと思い、思わず笑みがこぼれる。
「やっぱり食べるか」
僕もパンをもらった。口に入れた瞬間まるで口の中で溶けてしまったかのような感じがした。いつも食べているパンの数倍やわらかい。ほっぺたがとろけて落ちてしまいそうなぐらいにおいしい！
「うまっ！」
「おいしい！ とってもやわらかいパンだね」
僕らが普段食べているものとは似ても似つかない。
「えっ！ これシャドー家の方のパンだろ！」
「ケイト様が分けてくれます！皆さんにも食べて欲しくて」
「ケイト様は随分優しいんだね」
「おいしいですか？ ラム」
ラムは無言で頷いている。
エミリコは主人との距離が分近いのだと思う。
きっと信頼されているのだろう。エミリコは他の生き人形を助けたりと不思議な子ではあるけど悪い子じゃない。
そんなことを思ってエミリコの方を見るとあることに気がついた。
「あ！ エミリコ髪のリボンが取れてる！」
「玄関のほうに行った時に取れてしまいました！ でも大丈夫です！」
「パンをくれたお礼ってことでいいよ。僕のリボンをあげるね」
借りをつくりっぱなしにするのは良くない気がした僕は掃除中につけていたリボンをあげることにした。
「えぇ！いいんですか！？ ありがとうございます！ 今度お礼します！」
お礼なんていいのに。エミリコと話している内に仲良くなれた気がした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 9人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：空瀬 | 作成日時：2023年11月2日 23時
