立派になるために (ページ24)

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すすは便利なものページ24

「力がすごいですね！ショーン」
「一応縛っておけよ」

ショーンはぼくよりも力が強いのか。
すごい……ひとまず亡霊を倒せたのはよかった。

そんなことを考えていたら、エミリコがハッとして天井を指さした。

「落ち着いている場合じゃありません！あれを見てください！」
「見えない」
メガネを持ってこればよかったのにと思い、ショーンの方を見る。

「天井に扉があってそこがズレてすすが漏れてきています！」
「扉の故障だったんだね」

ひとまずラムのせいにならなくて良かった。これでバービーも納得するだろう。というかここはなんの部屋だろうか。見たところ様々な機械が置かれている。

「なるほどねここは『すす処理の間』にすすを流すための中間施設だね……こんなところにあったのか」

お影様は驚いているようにみえる。知らなかったんだろうか。というかすす処理ってなんだろう。
そんな僕たちの疑問を解決するかのようにお影様は話し始める。

「君たちが掃除で集めたすすは、すす処理の間に送られるすすはそこで固められてすす炭になる。これはシャドーハウスの大切なエネルギー源なんだ。」

「すす炭……」
「すすはただ捨てるだけじゃなかったんだな……」
「すすって便利なものだったんですね……」

「石炭というものもあるがすす炭はそれよりも遥かに効率よく燃焼し、しかも軽く扱いやすい」

お影様は博識な方なんだろう僕らよりも色々なことを知っている。

「すす炭すごい！」
「そうか……すす取りの間と同じような装置を操作する機械なんじゃないか？天井の扉は……」

「分かりました！各部屋からのすすの通り道ですね！だからすすが漏れているんですよ！」
「きっとそうだろうね風を起こす送風機が中間施設で管理されるわけだ。天井の扉はそれを整備するためだ……」

お影様はなんのために僕らについてきたんだろう。でも僕は生き人形、余計なことは考えない。そう思い僕は気持ちを切り替える。

「蝶番が錆びて壊れて扉がずれた。そこから入ってきたすすが集まって亡霊になった。誰のせいでもありませんでした！解決です」
これで見回りもおわるはずだ。やっと休めると少し安心していた。
ふと辺りを見回すとあのお影様がいなくなっていた。

「あれ？お影様いなくなっちゃいました。今度会ったらちゃんとお礼がしたいです！」

あのお影様は一体誰だったんだろうか。あの方には疑問が残るばかりだった。また会える日が来るのだろうか。