【そらる】先輩と私。【歌い手】

全力疾走の対価 ページ24

苦しい。苦しい。息が、できない。



　私は屋上まで走った。涙が出てきた。

泣いてるところなんて見られたくなくて、顔を伏せて走る。



　先輩は、「ごめん」って言った。

その「ごめん」はどういう意味？

　ろん先輩と一緒に出掛けて「ごめん」？

それとも、私じゃなくてろん先輩がいいから別れてほしい、「ごめん」？



　怖い。怖いんだよ。

空琉先輩に棄てられるのが。ろん先輩にとられちゃうのが。

　私、先輩が好きなの。

一緒にいたい。傍にいたい。でも……空琉先輩が一緒にいたいのは、私じゃないの？





「…っは、っは…ぁ」

　必死に走ったせいか、呼吸が上手くできない。

屋上に膝をついて肩で息をする。

　肺が熱くなって、変な音を立てる。


　胸が苦しい。

なんだろう…おかしいな………。


　本当に…呼吸が苦しい……。

しんどい…肺が痛い…息が……できない…。

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