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自己紹介とご縁 ページ2

「ごめんなさい…」

「大丈夫です……」



 気まずい空気が流れ、思い切って彼の顔を見上げる。

はんぺんみたいに白い肌とふわふわした黒髪、そしてその向こうにある真っ黒な目。


 目が合ってしまうと、私は何も言えずにただ彼の顔を見つめた。


「…いつもここに座ってるよね」

 彼は目を合わせるのが苦手なのか、すぐに目をそらされてしまった。

「……はい」

「校章…緑だよね。2年?」

「はい…」

 私は無意識に制服のブレザーに留めた校章バッジに触れた。

彼のは青。つまり三年生だ。

「……大池、さん」

「えっ?」

 大池、というのは私の苗字だ。

どうして私の名前を彼が。



「…2年学級委員会委員長、大池Aさん、でしょ?」

「あっ……はい………」


 そうか。

私が生徒総会の委員会紹介で、全校生徒の前で作文を読んだからか。



「良い声してるな、って思ったんだよね」

 そんなことを言うと、彼はくすっと笑った。

「前後の子はもっとぼそぼそ喋ってたのに、大池さんははっきりすらすら喋ってて、目が覚めた」


 どうやら彼の居眠りを妨害したため強いインパクトを残したらしい。

「…すみません」

 私は本にしおりを挟んで閉じると、丁寧に謝った。

「ううん、いいよ。どっちにしろ後ろのやつが俺の背中に文字書いて遊んでたし」

安眠妨害には慣れてる、と笑うと、彼は私の隣に座った。


「俺、戸塚空琉っていうんだ。よろしくね」

 知ってます。


 心の中で呟きつつも、そうなんですか、とうなずく。

「じゃあ、戸塚先ぱ___」

「空琉」

「えっ」

「空琉先輩がいい」

 名前呼びとか嫌いそうな顔なのに、なんて思ってしまう。

 存外可愛い人だな、なんて。

「じゃあ、失礼して。空琉先輩」

「ありがと」


 この日から、私は先輩と仲良くなった。

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Shuu nakamori(プロフ) - 面白かったです!今日見つけたばっかりなのにmacoさんの作品好きになりました!またそらるさんの小説読みたいです!出来ればR18で...! (2018年5月12日 21時) (レス) id: ff2902b544 (このIDを非表示/違反報告)
Maco(プロフ) - コメントありがとうございます!長らく更新できなくてすみませんでした!! (2016年1月2日 16時) (レス) id: 8f4193691d (このIDを非表示/違反報告)
lolo(プロフ) - お願いします続きがものすごく読みたいです。もう、そらるさん本当に大好きです!! (2015年11月19日 19時) (レス) id: 6d20e51ccc (このIDを非表示/違反報告)
リンゴ(プロフ) - 新作読ませてもらいました!そらるさん最高です!!!!(>ω<)白髪バーコードの小説から読ませていただきました!更新頑張ってください!楽しみにしてますね♪ (2015年10月3日 16時) (レス) id: 9de4b97fda (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Maco | 作成日時:2015年10月2日 18時

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