高嶺の花は喋らない

２話 ページ3

ちなみに俺もよく春音さんを観察している。観察といっても暇つぶしにだが。基本春音さんはこの現国の時間は外を見ている、実はそんな春音さんを見て俺も外を見るようになったが割と良くて、ぼーっと見てると気づいたら授業が終わってたりする


……



『(あ、飛行機雲……)』

今は現国の時間……この時間は眠いからよく外を見て寝ないようにしてる。授業中でも、学校の外でも視線を感じる……余り人の視線は好きじゃない。人と喋るのは
苦手……だから話さない誰とも、友達もいない。寂しくないわけじゃない、むしろ独りぼっちだから寂しい……家でも独り、両親は小さい頃に他界し、その後はおばあちゃんと暮らしていたけど、そんな祖母も亡くなり、今は従兄弟のおばさんからの支援をいただきながら一人暮らし……友達なんて出来た試しがない。ずっと独り、まともに話せるのは従兄弟や幼なじみくらい


『(あ、授業終わった)』


｢今日の授業はここまで｣


さっきの現国は4時間目、だから今から昼食、勿論独り


｢！！！｣


私が立つだけで皆が一斉にこちらを見る……人の視線が怖い

『……』


｢春音さん行っちゃった｣


｢春音さんやっぱり可愛い〜｣


｢いつもどこ行ってんだろなぁ、一緒に昼飯食べたいわ｣


｢無理だろ〜｣



……




『……』


ここはいつも私がご飯を食べている体育館裏、誰も来ないし……独りが寂しいって思ってるのに誰も来ないって言っている私は何処か矛盾しているのかもしれない。男の子は特に苦手……小さい頃から男の子にからかわれたり、絡まれたり、だから苦手になった。女の子もヒソヒソこっちを見て話したり、勝手な噂を流したり……怖い。結局男の子も女の子もどちらも怖い

『……』


笑わないのも、泣かないのも、私が何もしなければ静かで居られるから


ガサガサと音が聞こえ、茂みから動く物体が現れた


『猫……』


私も猫みたいに自由に好きなようになれたらいいのにな

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