高嶺の花は喋らない

１９話 ページ20

｢じゃあ俺らこっちなんで｣

｢おぉ、じゃあな｣

｢じゃあね春音さん｣

｢じゃあな〜！影山、は、春音さん！！｣

｢じゃあね！春音さん！影山！｣


あ、このままじゃ……日向くんに言わないと……
いつ会えるか分かんないし……今言わないと……

『……！』

1度引き返し日向くんの服を掴む


｢へっ？｣

｢｢！？｣｣

｢は、春音さん！？｣


驚いた表情で私を見る烏野の人達。恐る恐る私は口を開いた。声が震える


『……っ……友達になってくれませんか……』

とても小さい声だったと思う。すごく震えてた。でも日向くんにはちゃんと届いていたようで

｢！！は、春音さんが喋った！！｣

｢｢！！！｣｣

｢マジか！日向！｣

｢えー聞こえなかった！｣


言えた……声が出た……少し騒がしくなった。でも少し違う


『……』


駄目なのかな……やっぱり。少し静かになり沈黙が続いた。私じゃやっぱりダメなのかもしれない。勝手に思い上がって、日向くんならって、勝手に期待して……
友達になってくれるかもなんて虫が良すぎたのかもしれない


｢あ、えっと春音さん｣

『(……っ)』


私は反射的に目を瞑った……震える……怖い


｢俺達もう友達でしょ？｣


『……！(え……？)』


｢もう俺達友達じゃん！｣


友達……？ほんとに……？


｢もしかして迷惑だった！？｣


『！！』


急いで否定する。頭振りすぎた……頭痛い……

｢ははっ！頭振りすぎ！大丈夫？｣

『……』

｢春音さんって面白いな！｣


『？？』


｢変な意味じゃなくて！えっと……もっと大人しいと思ってたから、新しい春音さん見れた！｣

面白いのはよく分かんないけど……よかった……初めて友達ができた


｢……初めての友達だとよ｣

｢え？｣

｢お前がAの初めての友達｣

｢え！？春音さん友達居なかったの？｣

｢こら！日向！｣


『……』


｢あ、ごめんな｣


『……』


｢怒ってねーってさ｣

｢ホントか！？よかったぁ〜｣

｢そろそろ帰るぞ｣

『……』

｢じゃあね！春音さん｣

『……』ｷﾞｭ『〜〜〜っ』

帰り際、日向くんに近づき服を掴み、恥ずかしかったので耳元で言いたかったことをそっと呟きをまとめその場を後にした

｢へっ！？｣

｢日向がショートした！？｣


……




｢お前日向に何言ったんだ？｣


『……ありがと……って……』

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