３２４話 ページ7
「あんたは3巻までしか読んでいない。続きがある、魔王に支配された世界で正義のヒーローがもがき苦しみそして、最後に救い出すんだ。兄さん知っているか？悪者は必ず最後に負けるんだ！……っ」
頭を捕まれ、個性を発動させる
「夢は現実になった。現実は定石通りにいかない。お前が僕に屈しない現実もこれから僕が塗り替える。お前が大切だ」
「やめろ……っ！」
「やせ細ったお前にも扱い易い異能を見つけたんだ。共に行こう」
「やめろぉぉぉぉぉぉ！！！！」
どんどんその情景から離れていく、僕は手を伸ばすが届くことはない。そして薄暗かった景色から一変、白い空間へと来た
「君が9人目だね」
『っ！』
「もう少し見せたかったけど、まだなんとか20％なんだね」
白い男がゆっくりとこちらに近づいてくる。その男に向かって手を伸ばす僕
「気をつけて、特異点はとうに過ぎている」
そしてもう少しで手が届くというところで
「大丈夫君は1人じゃない」
ガラスが割れる音がし、目が覚めた
『はぁ……っ……っ』
動悸が激しい、そして右腕には赤い光
「出久？」
『！』
扉の外から声が聞こえた
「なんか凄い音聞こえて」
『Aさん……』
声の主はAさんだった
「大丈夫？」
Aさんの声になんとか落ち着きを取り戻す
『だい……じょうぶ』
「ほんとに？」
『うん……』
「……眠れないからさ気晴らししようと思うんだけど出久も来ない？」
『！』
何となく僕の様子がおかしい事に気づいたのかAさんが気晴らしに誘う
『う、うん！行く』
……
何だか寝付けず、ベッドの上でゴロゴロしてみるが寝れそうにないため、こっそりと外に出る
『(音を立てないように……)』
その時だった。ガラスが割れるような音
『！！？』
何だ？と思い窓の外を見る。すると地面にはガラスの破片が飛び散っていた
『位置的に……出久の部屋？』
何かあったのか？心配になり出久の部屋へと向かう。出久の部屋の前に立ち、あまり良くないが個性を使い、ほんの少し聴力を上昇させる
「はぁ……っ……っ」
息を吐く音、それはとても荒々しいものだった
『(おかしい……)出久？』
扉越しに声をかける
『大丈夫？』
少し間が空いた後「だい……じょうぶ」と返事が返ってくる。その声はとても大丈夫そうに思えない
『ほんとに？』
「うん……」
声が少し不安そうだ。変に抱え込む癖があるからなぁ……でも無理に聞き出すのもあれだし
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