消滅少女【第3章】 (ページ21)

今日:4 hit、昨日:0 hit、合計:24,527 hit

１００話ページ21

雄英にいた頃だった。バレたのは父さんにだ

『(轟くん……)』

彼を守るためならば

『(殺そう)』

たとえ実の父親でも

『(どうせ敵(ヴィラン)なんだ)』

私は轟くんさえ守れればそれで良かった。私に感情を与えてくれた轟くんを守れれば

そこから直ぐに行動に移した。父さんを殺せば組が動き出すかもしれない、そうなれば私の存在も雄英にバレ、2つに追いかけられることになる

だから私は雄英の人、先生の記憶を消した。元々戸籍は偽物、記憶さえ消してしまえば簡単だった

そして決行した

私は父親を

“殺した”

またそこから順々に組の者、父さんの事の記憶を消せばいいと思った

でも甘くなかった

父さんの……無彩組のバックにはあいつ……死柄木弔が慕っている……先生……オール・フォー・ワンが居た

何をされるか分からない。それに母親の肩身……あれを取られたら……だから私は逃げた

『……』

鏡の前に立つ、私

そしてそっと個性を発動し左目の前髪を上げる

『……』

フッと私はその場に倒れた。そして起き上がった時には

『……？』

自分の記憶を消した。それでも何かから逃げるように消えようとした。自分が何者かも分からないが、何故か逃げなくてはいけないような気がした

そして逃げて……逃げて……力尽きた時にはどこかの私有地……そこがいつかの雄英だった

死柄木弔はテレビを付けた。テレビには雄英の事が映っていた

責められる雄英、ヒーロー……全て悪いのは私なのに

「雄英校に優秀な成績で入学、体育祭優勝、また中学時代ヘドロ事件で強力な敵(ヴィラン)に単身抵抗を続け、経歴こそタフなヒーロー性を感じますが、反面決勝で見せた粗暴さや表彰式に至るまでの態度など、精神面の不安定さも散見されています。もしそこに目を付けての上の拉致だとしたら……言葉巧みに彼をかろ明かし悪の道に染まってしまったら……未来があると言いきれる根拠をお聞かせください」

質問だらけの記者……これは尋問にしか思えない。それに明らかに煽っている

「そしてあと一人……彼女は自ら敵(ヴィラン)側に向かったと聞きましたが？」

『！……』

私のことも漏洩している

「無希A……彼女は敵(ヴィラン)だったんじゃないんですか？」

報道陣の言うことは本当だった。私は苦しくて仕方なかった。相澤先生に……みんなにこんな形で……

そう思った時、相澤先生は言葉を続けた