４５話 ページ6
そう呟いた無希の声
見つめていたのは飯田の方、ヒーロー殺しに飯田の兄がやられたらしい
憎しみ……飯田が何もしなければいい
それもだが無希の言った言葉が
さも自分が経験したような口ぶりだった
『無希は何処に……「行くぞ無希」』
「何？轟くん」
相澤先生に呼ばれた無希、言葉を遮られた
『いや、なんでもない』
結局聞き出すことはできなかった
……
「待っていたぞ焦凍、ようやくはだを進む気になったか」
『あんたが作った道を進む気はねぇ……俺は俺の道を進む』
「はっ……まぁ、いい」
やはりクソ親父の顔を見るのは最悪だ
「お前以外にも指名を入れたんだが来なかったな」
『は？』
俺以外に指名？一体誰に
「体育祭で記憶を消す個性を使った少女だ」
『！……何故無希に』
クソ親父は何を企んでいる……俺の眉間にシワがよる
「あの個性……例を見ない個性だ。俺個人としてあの少女の個性が気になった」
確かに無希の個性は気になる……でも結局個性か……唇を噛みしめる
「後、あれは」
『……？』
「何処かで見た覚えがある、記憶にはない」
『！』
何処かで……？親父が知っているその事実よりも1番に気になったのは俺と同じ、何処かで会った、見た覚えがあるという記憶の事だ
「あの少女からは異様な空気がした……あれは……」
『それ以上言うなクソ親父』
これ以上聞く気はなかった。出てくる言葉はだいたい分かっていた。こんな奴でも親だからか、いや、それだけではない。みんな少しずつ感じている無希の空気
異様で、不思議で、消えそうな……そして
冷たく、凍てついた……
戦闘訓練の時に思ったあの事
敵のそれに等しい
……
「まぁ、雄英で職場体験をしてもらうわけだが」
『……』
「まぁ基本お前が出来ることは書類整理だが、今回はせっかく雄英でやるんだ。他クラスの授業に参加してもらう」
『他クラス……』
ほかのクラスの授業に参加できる機会なんてそう無い
「とりあえず今日は書類整理を頼む」
『……』
コクンと頷いた
……
『……』
「これ差し入れ」
ミッドナイト先生が差し入れと言って飲み物をくれた
「そろそろ１回休んだら？」
『いえ……』
「おかげで助かってはいるけど、余り詰めすぎても良くないわよ」
『……そうします』
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