消滅少女【第2章】 (ページ31)

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７０話ページ31

全て思い出したのだ

『お母さんの本……』

探さないと

あれだけは

誰の手にも渡しちゃダメだ

母さんが最後に残した本……

『(轟くん……)』

私はどうしても守らなければいけないんだ

“轟くん”を

だって轟くんは

私の“光”だから

いきなり知らされた真実

その真実を上手く受け入れれないけど

それでも受け入れている自分がいて

記憶と共に思い出される私という人間、そして私の使命

守らなければいけないんだ

それは白い少女の意思だったのか

黒い少女の意思だったのか

今となっては誰も分からない

それでも共通して言えるのは

『轟くん』

私の全ては彼なんだと

……

プールに誘われた……けれども私は行かなかった

『……』

「迎えに来ましたよ」

『……』

黒霧が入ってくる。そして私は彼のワープゲートの中に入った

目の前に広がるバー

「あ、来ましたねーAちゃん」

『……』

「何とか言わねーのかお前、人形みたいな面しやがって」

『君らと馴れ合うつもりは無い。君らの力なんか使わなくても私は強い』

「なんなんだよあれ……協調性に欠けるじゃねーか」

「アンタには言われたくないと思うわよ」

「でも大丈夫なのか？記憶がなかったとはいえ、元は雄英の生徒だろ？」

「大丈夫だ、先生が言ったんだ。それにAの顔を見てみろよ」

「……」

「まぁ、あれならね」

「心配はないわな」

凍てつく瞳、なんの感情も持っていないような姿……そして人を人も思わない、邪魔するものは消すと言ったような雰囲気の少女

そんな姿を見れば、誰しもが彼女をヒーローとは思わないだろう

実際そうなのである

もう彼女はヒーローにはなれない、戻れないのだから

『話は』

「今度雄英に襲撃をする」

『……』

「お前には林間合宿先を横流ししてもらいたい」

『分かった』

「怖いねぇ……仮にも、同じクラスで、仲良しこよししてた奴らだろ？情とかねぇーのかよ」

『……別に……私には関係ない』

「おぉ……怖」

私は……さえ守れれば

『林間合宿先だけ流せばいいの』

「あぁ、襲撃の時はお前は何もしなくていい」

『分かった』

「“爆豪勝己”を捕まえ次第、終了だ。目的が終われば、お前はそのまま荼毘と一緒に来い」

『分かった』