６９話 ページ30
ごめん……相澤先生……みんな……
私はそっち側じゃなかったみたい
またワープゲートに包まれ、バーのような所に来た
「ようこそ無希さん」
『……』
USJ事件の時に居た彼
「この子が新しい仲間？」
女らしい口調の男
継ぎ接ぎだらけの男にセーラー服の女、異型系かドラコンのような見た目の男に、仮面、全身タイツの男
「先生が言っていたんだ。君を歓迎するよ」
『……』
「ようこそ
あの時言っていた黒い少女の言葉
後悔すると、苦しい思いをすると
その通りだった
白い少女は消え去った
いや、本来の色に戻ったのだ
どこまでも黒い少女に
もう終わりである
白い彼女は黒へと戻った
ここから悪夢が始まる
……
『……』
黒霧が私を最初居た場所に戻した。ショッピングモールには警察……
『(死柄木さんか……)』
どうやら彼はここに来ていたらしい
「無希さん！」
『……』
走ってきたのは“麗日さん”
「良かった！無事やったんやね！居らんくなったからうちもみんなも焦って……」
『……』
麗日さんの額にはうっすらと汗……それほど私を心配してくれた事が分かる
「無希さん……？」
『ううん……なんでもない。心配かけてごめんね』
「え……いや……」
『行こっか』
「あ……はい」
黒い彼女のいつもと違った雰囲気に何かを感じる彼女であったが、気の所為だと思った
だが彼女は確実に変わっていた
もう、あの時の彼女は戻ってこない
本来の彼女に戻ったのだから
……
家へと帰る。あの後相澤先生が迎えに来て、大丈夫かと心配してくれた
「何かあったか……？」
『……いや、何も』
「それなら良かった」
嘘……嘘だよ先生
もう、先生の期待には応えられない
私は向こう側の人間だから
助けを言えば戻れるのかもしれない、それでも私は向こう側を選んだ
それは記憶が戻った時の、今までしてきた私の全て
『(最低な人間だ)』
平然と人を……個性で存在を消した。もう私は戻れないのだと、自分でも分かっている
『お母さん……』
お母さんのことも父さんのことも思い出した
お母さんが私を守るために死んだのも、私の記憶からお母さんの記憶を消した父さんのことも、そして父さんを殺したのは私だということも
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