消滅少女【第2章】 (ページ15)

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５４話ページ15

身体が良く動く……今までと同じ感覚

轟くん、爆豪くんを抜かし、先頭に行き、パイプの上を走る

私の身体が覚えている。これだけ動けるよと……それは記憶の私が手に入れた力なのかもしれない、私が意識せずに動けるのも

それでも

『(利用できるものは利用させてもらう)』

これが記憶の私の力であっても、私は私だ。私の力には変わりない

『(普通じゃないのも分かってる)』

普通の生徒が、ここまでの動きをできないことも自分では分かっていた。これは記憶の私が誰かに指導された動きなんだと

異常にまで発達した機動力、バランス感覚、五感……それらをどうやって記憶の私が手に入れたのかは分からない

それでも私はその力を使う。私は私、相澤先生が言ってくれた。記憶の私も今の私も同じ人間なのだから

『(今の私が使いたいように使う)』

この“暗殺術”は正しい使い方で使うんだ

……

轟side

「フィニーーーッシュ！！ありがとう！そしておめでとう」

1番にゴールしたのは俺と爆豪……

無希に追い抜かされたことに驚いたものも、そこから闘争心が巻き起こり、2人で一気に追いつき、勝った

『(でも……)』

俺も爆豪も勝った気がしない

無希が来た時のあの悪寒……殺気……あれはヒーロー殺しと同じ感覚だった

爆豪もヒーロー殺しに直に会った訳では無いが、俺と同じような感覚に陥ったと思う。あいつも無言で無希を見ているからだ

「無希先輩さすがですわ！」

「先輩付けなくていいのに」

「さすがにそれは出来ませんわ」

「そう……でも結局負けたから」

「そんなことないわ、無希先輩すごく爆豪ちゃんや轟ちゃんといい勝負してたもの」

「やっぱりあの二人の個性には適わないよ」

「無希先輩の個性は……忘却だったかしら？」

「うん……そうだよ」

「敵(ヴィラン)相手の尋問に役立ちそうな個性だわ」

「確かにそうかも……でも先頭には不向きだよ」

「でも無希先輩には機動力、判断力、戦闘力がありますわ！十分に補えているのでヒーローとして最適だと思いますわ」

「……そうかな……ありがと」

無希が八百万、蛙吹と話している

『(あいつも仲良くなったな)』

前までは誰とも話そうとしなかったのに、今ではあんなに話すようになった。聞き手に回ることが多いが、それでもあーやって話の輪に入っている無希は少し不思議だ

「轟くん」

『！……』