死んでいたのは私だった【後編】

５１話 ページ12

「俺達は血液だ。滞り無く流れろ、酸素を回せ……“脳”が正常に働くために」


『……』


「行くぞ！！」


「「おぉ！！」」


『……』


「引いてるから」


「何が？」



「瀬良、明らかに引いてるんだけど」


『……そんなことないですよ……』


「目泳いじゃってますけど！？」


いや……うん。引いてはない、ただちょっと個性的というか厨二病っぽいというか


「俺らっぽくていいのになー！」


不貞腐れコートの中に入る黒尾さん


「さすがにあれはね……」


『孤爪さんも思うんですか』


「うん……」


チーム内でも微妙だと思ってる人居たんだ。私がおかしいのかもしれないと思ったけど、大丈夫そうだ


「あのさ」


『？』


「俺体育会系の上下関係みたいなの好きじゃないから……研磨でいい」


『いや……でも先輩ですし』


流石に……とは思ったけども、孤爪さんの圧力により、私は控えめに呼んでみる


『研磨さん』


「さんも要らないんだけど」


『さすがにそれは先輩なので……』


「まぁ、いいけど……」


それだけ言うと研磨さんはコートへ入っていった


『(もうすぐ練習試合)』


音駒はどんなチームなんだろうか、猫又先生の隣に座り試合を見る。一応記録も付けておく


「ナイッサー」


試合が始まり、ボールが飛び交う。相手は梟谷というチーム


「木兎さん！」


梟谷の人にボールが渡る、そして打たれたボールは凄い勢いで音駒に飛んでいく


「っ！」


『！……』



それを軽やかにレシーブする福永さん



『(あのスパイクを……)』


それから試合を見続けていたが、凄いの一言、梟谷の木兎さんと呼ばれている人は全国で五本の指に入るスパイカーらしい。猫又先生が教えてくれた。

そんなスパイカーのスパイクを靱やかにレシーブする音駒


『(音駒高校は)』


レシーブのチーム。安定したレシーブのチームなんだと分かった


『(音駒なら及川さんのサーブも軽く取れそうだな……)』


少し見てみたいと思った


「音駒の武器は」


『！』


隣にいる猫又先生が話す


「安定したレシーブ、バレーはボールを落とさなければ負けない｣


『そうですね』


「だがね」


『？』


「音駒には“脳”がいるんだよ」


『脳……？』


さっきの円陣でも言っていた。“脳”が正常に働くためとかなんとか


「見てみなさい。そしたら分かる」


そう言われじっと試合を見つめる


『(そう言えば研磨さん全く動いてないような……)』

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