47 棺桶 ページ47
そして私たちは楽屋を離れた。
私、凛月兄、大神先輩は羽風先輩と乙狩先輩と零兄のいる軽音部室に向かっている。
他のKnightsのメンバー達は用を済ませたら帰ると聞いている。忙しいのだろう。
「リッチーって本当、あのヤローのこと好きだよな」
「は？コーギーに言われたくないんだけど。俺はあんなやつ大っ嫌いだから」
この2人は仲がいいのか悪いのか。
とりあえずこれからのことは零兄の様子を見て判断するつもりだ。
『凛月兄、軽音部の部室ってこの扉？』
「うん、そうだよ」
念の為に確認しておく。もちろん理由は間違えていたら大変だからだ。
「A、ちょっとコーギーに話したいことがあるから後で入るね」
「あ？話？」
…なんの話だろうか。
とりあえず私だけでも教室に入ろう。扉をノックする。
『失礼します』
中に入る。すると羽風先輩と乙狩先輩の姿が。どうやらあれからずっとここにいたらしい。
「お、Aちゃん」
『乙狩先輩、羽風先輩こんにちは。…兄は』
「棺桶で寝ている。朔間先輩は相変わらず顔色が悪い。体温も上がっているようだ」
零兄は棺桶の中で眠っているらしい。顔色を確認するためか、棺桶は少し開いていた。
「あれ、わんちゃんと弟君は？」
『…後で入ってくると思います』
寝ている兄を見つめる。症状は私が思っていたより深刻らしい。顔色もいつもより悪い。どうしてここまで無理をするのだろうか。
「朔間さんはこのまま放置？」
『はい…とりあえず夜まで私がここで待ちます』
「待つって…ここで！？」
驚く羽風先輩。兄はいつ起きるか分からない。これが1番良い方法だと判断したのだ。
『そうですけど…』
「いやいや、危ないでしょ。なんなら俺も一緒に待とうか？」
「いや、羽風先輩は何をするか分からない。ここは兄に任せた方がいいと俺は思う」
…羽風先輩はそんなに信用ないのだろうか。すると部室の扉が勢いよく開いた。
「あ、わんちゃんと弟君」
「何をしていたんだ？」
「リッチーの話を聞いてやってただけだよ」
なんの話しだったのだろう。気になるが聞くのは止めておいた。
凛月兄は部室に入ると真っ先に棺桶へ向かって歩いた。零兄の顔を覗き込むと小さなため息をついてしゃがみ込んだ。
「…馬鹿じゃないの」
それはとても小さな声だった。
「A、帰ろ。コーギー達もありがとうね」
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冬乃(プロフ) - よっ！ (2018年8月30日 18時) (
レス) id: db15aabe3a (このIDを非表示/違反報告)
雨音(プロフ) - 面白い作品で好きです！あと、12話で英智さんのあだ名がエッちゃんじゃなくてセッちゃんになってますよ? (2018年8月19日 21時) (レス) id: 23ae3ada38 (このIDを非表示/違反報告)
リーリエ - とっても面白いです！続き楽しみにしてます♪ (2018年8月15日 17時) (レス) id: e54f7d496b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りんごあめ | 作成日時：2018年8月2日 0時
