32 ティーパーティー ページ32
声の主は天祥院英智だった。こんな所で会うなんて…。
『天祥院先輩、こんにちは。少し用があったもので…それでは』
帰ろう。この場から1秒でも早く離れたい。
「そうだ、これから一緒にお茶はどうだい？」
『お茶…ですか？』
絶対嫌だ。なぜ私が天祥院英智とお茶を飲まなければいけないのか。早く断って帰ろう。
『ごめんなさい、今日はちょっと…』
「…それは残念だよ。今日は有名な店のケーキがあるんだけどね。凛月くんが来ないから1つ余ってるんだ」
ケーキ…。
『…じゃあ少しだけ』
「うん、じゃあ行こうか」
わかっていたかのような顔。ケーキを食べたらすぐ帰る。そう、私は凛月兄の代わりにケーキを食べに行くんだ。
「遅くなって申し訳ないね、創くん」
「いえいえ！それより会長さん！今日の紅茶は……」
彼が話しかけたのは可愛らしい1年生の男の子。紅茶について説明している。
私のことには気づいていないみたいだ。
「Aちゃん、紹介するよ。同じ紅茶部の紫之創くん、1年生だよ」
『はじめまして、紫之さん。朔間Aです』
ニコッと笑ってみせた。可愛らしい顔立ちの男の子。女子を辞めたくなるレベルだ。
「あ…はじめまして、紫之創と言います！」
「気づいたようだね、創くん。Aちゃんは凛月くんの妹さんだよ」
やっぱり！という紫之さん。パッと笑顔になった。行動まで可愛いなんてずるい。
「今日は凛月くんの代わりに来てくれたんだ」
「凛月先輩、明日に向けて今日はレッスンですもんね。Aさんの分のお茶、お入れしますね！」
ガーデンテラスで放課後にお茶会。普通科では考えられない。アイドル科はなんでもありなんだろうか。
『ありがとうございます…！』
「Aちゃん、ゆっくりしていってね。」
わぁ美味しそう…♡
出されたのは先日テレビで見た有名店のケーキだった。朝から大行列ができるほどの人気なんだとか。
「わぁ！美味しそうです…！」
「ふふ、喜んでもらえて良かったよ」
天祥院英智と紫之くんは私に凛月兄の話をしてくれた。話に出てくるのは私の知らない凛月兄ばかり。なんだか不思議な感じだ。
「あ、すいません…！僕、今日にーちゃんに呼ばれてて…お先に失礼します…！」
「そっか。またね、創くん♪」
『またお会いしましょうね…！』
紫之くんが席を離れる。気づけば私と天祥院英智の2人になっていた。ケーキを食べたらすぐ帰ろうと思っていたのに。
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冬乃(プロフ) - よっ！ (2018年8月30日 18時) (
レス) id: db15aabe3a (このIDを非表示/違反報告)
雨音(プロフ) - 面白い作品で好きです！あと、12話で英智さんのあだ名がエッちゃんじゃなくてセッちゃんになってますよ? (2018年8月19日 21時) (レス) id: 23ae3ada38 (このIDを非表示/違反報告)
リーリエ - とっても面白いです！続き楽しみにしてます♪ (2018年8月15日 17時) (レス) id: e54f7d496b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りんごあめ | 作成日時：2018年8月2日 0時
