36.愛弟子と華麗なる彼 ページ38
それから暫く歩く事。
私と太宰はとあるカフェへと来た。
『太宰、こんな時にこんな場所に来るなんて、どんな考えがあるんです?』
太「ここで人と待ち合わせをしているんだよ」
『待ち合わせ…?』
首を傾げる私に、太宰は着いてきて、とだけ告げる。
不思議に思いながらも私は太宰の後に着いていき、そして目を見張った。
『な、んで貴方が此処に……』
フ「やぁ、久しいな。【浮雲】使い」
新聞を読みながら優雅に笑うのは紛れもなく、あの組合戦で打ち倒れたはずのフィッツジェラルドで。
私は唯、彼を見ることしか出来なかった。
太「私が彼に協力を仰いだんだよ」
フ「ふっ……協力というよりも利害の一致だと言って欲しいな」
席に付いた太宰も普通に話し出す。
あれ、この状況に付いていけない私が可笑しいのだろうか。
太「Aも座りなよ」
『え、あ、うん』
太宰に促されるまま、私も席へとつくのであった。
『えと…太宰、これはどういう事ですか?』
太「んー?見ての通りだけどねぇ」
分からないから聞いているんですが(真顔)
そんな思いで太宰を見つめるも、本人は何処吹く風の様な態度。
これじゃ埒が明かないですね。
今度はフィッツジェラルドの方を見て、そして驚いた。
え?なんでかって?だって彼、凄い顔してこちらを見るんですもん!!
『あ、あの…何か…?』
フ「あぁ、すまないね。唯、マフィアの相談役がこんな少女だとは思わなくてね。君の事は聞いてはいたが、実際に見るのは初めてで驚いただけだ」
『あれ?嫌味なんですかね??』
太「まぁまぁ、落ち着いてA。彼はこれが普通だからさ」
思わず握り締めた拳を見て、太宰は私を宥める。
…矢張り彼の傲慢な態度は気に食わないですね…。
けれども。
『この状況の中、太宰が彼に協力を仰いだってことは、ちゃんと意味があるって事ですよね』
太「そうだよ。彼の持つ力を貸してもらったんだ」
彼の_______フィッツジェラルドの持つ力。それはすなわち、
『神の目、ですね』
それしかない。
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作者名:松並ゆの | 作成日時:2018年2月26日 23時