34.愛弟子とその気持ち ページ36
『それで。続きを言って下さい、太宰』
そもそも私も太宰の計画はまだ知らないのだから。
太「もー分かってるよ。全くAはせっかちだなぁ。えーと、何処まで言ったっけ……あぁ、第一はウイルス異能者、第二の目標はドフトエフスキーだよ」
敦「待って下さい!そんな重要な作戦なら尚更……第一、芥川の僕への憎悪は尋常じゃありません!作戦が成立する訳が…」
『だってよ、芥川君』
中島君の言葉を聞いた私は、それまで珍しく黙っていた芥川君に話を振った。
すると芥川君は、これまた久方振りに真剣な表情をしていた。
芥「作戦を、遂行、します」
わぁお、何時以上なく、尋常じゃない集中力だ。
【浮雲】
芥(太宰さんの期待に応えなければ……。それにこれ以上、Aさんの前で恥を晒す訳にはいかない)
思わず異能力で芥川君の心の中を読めば、そんな事を考えているようで。
矢張り第一は太宰の事だけれど、第二に私の事を考えているなんて。
可愛い所もあるんですねぇ。
思わずニヤリと笑ってしまう私。
それを見ていたのであろう、太宰は眉間に皺を寄せて、一言「不気味だよ」と呟いた。
太「まぁ不気味なAは置いといて」
『おいこら』
太「私の直轄麾下は4年ぶりだねぇ、芥川君。少しは出来るようになった処を見せてもらおうかな」
芥「はい」
『………』
うわぁ、これは全くもって心此処に在らず、ですねぇ。
敦「……あ、芥川?お前芥川だよな?」
余りの芥川君の不気味さに驚いたのか、中島君は彼に声をかける。が。
芥「あぁ」
返ってきたのはたったそれだけで。
敦「僕と協力して戦う気か?」
芥「あぁ」
敦「昨日の晩飯何だった?」
芥「あぁ」
何とも言えない表情になった中島君。
分かります、その気持ち。
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作者名:松並ゆの | 作成日時:2018年2月26日 23時