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26.愛弟子と怖がり ページ28

それから、首領を守る紅葉姐様に中也君から連絡が入った。

探偵社員の1人、異能力【細雪】を使う谷崎潤一郎を捕まえたと。


谷崎さんを連れてきた中也君は矢張り、私と目を合わせる事無く、直ぐ様探偵社の社長探しに出ていった。


こういう時こそ、【浮雲】を使うべきなのだろうが。


……心を読んで完璧に拒絶されたら、きっと私は立ち直れない。


詰まる所は怖いのだ。

ずっと兄のように慕っていた人に、見限られるのが。冷ややかな目で見られるのが。


『でも、私が最初に裏切った様なものですよね……』


そう小さく呟くけれど、周りは皆忙しくしている為、誰も私の言葉に反応する者は居なかった。









段々と騒がしくなる建物内。

『一体どうしたんですか?』

私は近くに居た部下にそう聞いた。

「先程捕まえていた捕虜が逃走したんです!!」

『逃走……!?黒蜥蜴が見張りをしてたんでしょう?』

「其れがどうも別の異能力を隠し持ってたみたいで…恐らく首領の元へと向かってると思います!!」

『分かった、有難う。持ち場に戻って下さい』

今起こっている事を一通り聞き、私は部下を解放した。


黒蜥蜴から逃げ切るなんて……

谷崎潤一郎の異能力は【細雪】
幻影を見せる異能力のはず。


『暗殺向きって訳か…』


幹部クラスの人間で常にマフィア内に居るのは、中也君と紅葉姐様、Aに私。

けれどもAは死に、中也君は今は居ない。

となれば、此処に残るのは私と姐様だけで。


……此処は絶対守りきらないと。


これ以上、中也君達を失望させる事は出来ない。


そう思った私は、首領が居る部屋へと向かって行った。

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作者名:松並ゆの | 作成日時:2018年2月26日 23時

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