25.愛弟子と亀裂 ページ27
其れから、樋口ちゃんから首領が刺されたとの報告を受け、私と芥川君はすぐ様アジトへと戻った。
ホーソーンの事も気にはなるが、今は首領が優先だ。
『中也君!!首領は!?』
芥川君はこれから準備がある為途中で別れ、私は幹部室へと来た。
其処には既に紅葉姐様と中也君が居て。
中也君は紙を握りしめていた。
中「A、準備をしろ」
『え、準備って…』
中「探偵社の社長の首をとる」
『!!』
そう言った、中也君の顔は本気そのもので。
紅「黒幕の思う壷になるぞ」
中「黒幕はブッ潰します!それでも二日じゃ時間が足りない!やるしかねぇんだ……」
『中也君……』
こんな中也君見た事ない。
太宰が居た時でも、ここまで怒りを顕にした事など無かった。
それだけ今回は非常に厄介で、時間が無いという事か。
でも……
『探偵社に手を出すんですか?』
中「あぁ、彼方の社長も首領と一緒の異能に掛かってるらしい。二日以内に異能を解くか、異能に掛かっているどちらかが亡くなれば良いらしいからな」
だから探偵社を襲撃する。
中也君は先程とは打って変わって、静かにそう言った。
……私はどうするべきだろうか。
確かに私はポートマフィアで、それも幹部と同じ地位の相談役だ。
中也君と同じく、探偵社攻めに加わるべきだろう。
けれど。
私は探偵社に関わりすぎた。
太宰は勿論の事、鏡花ちゃんや中島君、江戸川さん、国木田さん達に情が湧いてしまった。
『私は……』
その先の言葉は何も言えなかった。
中「A」
『ッ!』
紅「……中也、Aは私と一緒に首領を守るとするぞ」
『姐様……』
中也君の呼び掛けに応じる事が出来ない私を見兼ねてか、紅葉姐様がそう言葉を掛けた。
紅「Aも、それで良いじゃろう?」
『…はい』
中「…ちっ。じゃあ俺は芥川達と出る。姐さん、首領の事は頼みます」
紅「任しておけ」
『中也くーーー』
中「今、話しかけんな」
そう言って部屋から出た中也君は、私の言葉を拒絶した。
今まで、そんな事なんて無かったのに。
でもきっとこれは自業自得何だ。私が太宰に、探偵社に関わりすぎたから。
マフィアを選ばないといけないのに、直ぐに選べなかったから。
駄目な私を、中也君は初めて見限った。
紅「A……大丈夫かえ?」
心配そうに聞いてくる姐様。
ダメだ、今は涙を流す時じゃない。
『大丈夫ですよ。さぁ、首領を守りましょう』
私は平気な振りをするしかないんだ。
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作者名:松並ゆの | 作成日時:2018年2月26日 23時