検索窓
今日:16 hit、昨日:8 hit、合計:75,213 hit

25.愛弟子と亀裂 ページ27

其れから、樋口ちゃんから首領が刺されたとの報告を受け、私と芥川君はすぐ様アジトへと戻った。

ホーソーンの事も気にはなるが、今は首領が優先だ。


『中也君!!首領は!?』


芥川君はこれから準備がある為途中で別れ、私は幹部室へと来た。

其処には既に紅葉姐様と中也君が居て。
中也君は紙を握りしめていた。

中「A、準備をしろ」

『え、準備って…』

中「探偵社の社長の首をとる」

『!!』

そう言った、中也君の顔は本気そのもので。

紅「黒幕の思う壷になるぞ」

中「黒幕はブッ潰します!それでも二日じゃ時間が足りない!やるしかねぇんだ……」

『中也君……』

こんな中也君見た事ない。

太宰が居た時でも、ここまで怒りを顕にした事など無かった。

それだけ今回は非常に厄介で、時間が無いという事か。

でも……

『探偵社に手を出すんですか?』

中「あぁ、彼方の社長も首領と一緒の異能に掛かってるらしい。二日以内に異能を解くか、異能に掛かっているどちらかが亡くなれば良いらしいからな」

だから探偵社を襲撃する。


中也君は先程とは打って変わって、静かにそう言った。


……私はどうするべきだろうか。


確かに私はポートマフィアで、それも幹部と同じ地位の相談役だ。
中也君と同じく、探偵社攻めに加わるべきだろう。

けれど。

私は探偵社に関わりすぎた。

太宰は勿論の事、鏡花ちゃんや中島君、江戸川さん、国木田さん達に情が湧いてしまった。

『私は……』

その先の言葉は何も言えなかった。

中「A」

『ッ!』

紅「……中也、Aは私と一緒に首領を守るとするぞ」

『姐様……』

中也君の呼び掛けに応じる事が出来ない私を見兼ねてか、紅葉姐様がそう言葉を掛けた。

紅「Aも、それで良いじゃろう?」

『…はい』

中「…ちっ。じゃあ俺は芥川達と出る。姐さん、首領の事は頼みます」

紅「任しておけ」

『中也くーーー』

中「今、話しかけんな」

そう言って部屋から出た中也君は、私の言葉を拒絶した。

今まで、そんな事なんて無かったのに。

でもきっとこれは自業自得何だ。私が太宰に、探偵社に関わりすぎたから。

マフィアを選ばないといけないのに、直ぐに選べなかったから。

駄目な私を、中也君は初めて見限った。

紅「A……大丈夫かえ?」

心配そうに聞いてくる姐様。
ダメだ、今は涙を流す時じゃない。


『大丈夫ですよ。さぁ、首領を守りましょう』


私は平気な振りをするしかないんだ。

26.愛弟子と怖がり→←24.愛弟子と真っ黒な心



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (38 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
68人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:松並ゆの | 作成日時:2018年2月26日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。