23.愛弟子とお目付け役 ページ25
あれから、私は仕事に追われる日々を送っている。
まぁ仕事をしている方が余計な事を考えないですむ為、或る意味良いが。
そんな中、矢張りというか何というか。
問題は巻き起こってくる。
『はぁ!?芥川君の補助をしろと!?私が!?』
森「うん、そうだよ」
首領はいつもと同じ笑みを浮かべ、叫ぶ私にそう言った。
森「今、“異能者ころし”が出ている事は知っているだろう?」
異能者ころし……それは名の通り、異能力所持者を狙ったころしの事で。
『勿論知ってますが。それと芥川君が関係してるんです?』
森「うん。これ以上、それを放置する事は出来ないからね。此方から罠を仕掛けさせてもらう事にしたんだ」
『それで芥川君を使うから、私にお目付け役という名の補助をしろと、そういう事ですか』
森「さすが、A君は飲み込みが早くて助かるよ!」
……どうしよう、満面の笑みで答える首領に一瞬、殴りたくなってしまったわ。
あまり乗り気では無いけれど、首領からの命令だ。仕方がないですね。
『分かりました、今から芥川君と合流します』
森「うん、宜しくね。指示は芥川君に聞けばわかるから」
『はい、失礼します』
そう言って、私は首領室から出て、芥川君の元へと向かった。
▽△
『そういう理由だから、芥川君無茶振りしないで下さいね』
芥「………」
『無反応ですか、反抗期ですか、こら』
芥「………」
はい、これはどうしようもないですね。
先程から私の言葉を無視する芥川君。
やれやれ全く、芥川君はいつも酷いですね。
でも、
『あんまり無視するといい加減怒りますよ?』
芥「……すみません、でした」
『分かればよろしい』
少し、ほんの少しだけ睨みを効かせれば芥川君は素直に謝った。
まぁ彼はその身を以て知っているから。私に逆らったらどうなるか。
随分昔もこうして芥川君と組んだ事があって。
その時も芥川君は私の事を下に見て、無視をしていた。
余りにも腹が立ったものだから、【浮雲】を使って芥川君の心を読み、その当時、まだマフィアに居た太宰に芥川君の心の内を全て伝えてやったのだ。
勿論、芥川君本人の目の前で。
それ以来、芥川君は余り私には逆らわない。というか、逆らえなくなったのだ。
『全く、私も無駄な異能を使いたくないんですよ』
芥「……(その割に楽しんでるように見えるが)」
『ん?何か思いましたか??』
芥「いえ、別に…」
(黒く)微笑む私と目を逸らす芥川君。
これはこれで、前途多難ですね。
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作者名:松並ゆの | 作成日時:2018年2月26日 23時