18.愛弟子と紅葉姐様 ページ20
紅「然し、暫く合わぬ間にまた一段と綺麗になったの、A」
『紅葉姐様に言われると凄く嬉しいです!』
お茶を片手に、私は紅葉姐様と向かい合って喋っている。
因みにエリスちゃんはケーキを頬張るのに必死なようで。
その姿を写真に収める首領が居るのはあえて無視をしましょう。
エリスちゃんが可愛いのは分かるから。
紅「して、A、お主の異能の方はどうかえ?」
『うわぁ、いきなりですね』
紅「私とAの仲じゃ。前置きなど不要じゃろう?」
『確かに』
お互いにふふ、と笑い合う。
紅葉姐様が気にしている、私の異能。それは紛れも無く【浮雲】の事で。
私がこの異能力を持った時、ひいてはポートマフィアに入った時はまだこの異能力を制御出来ていなくて。
勝手に異能力が発動したりして困ったものだった。
まぁ、発動するとしてもそれは言霊ではなく、読心の方だったのだが。
それでも知りたくも無い相手の心の内を知るというのは、複雑なもので。
困っていた私に異能力の制御の仕方を教えてくれたのが、この紅葉姐様だったのだ。
『紅葉姐様のお陰で、殆ど制御できてるんですよ。まぁ偶に勝手に読心が発動したりはしますが。でも困ってはいないですね』
だって今の私は昔と違って、心も鍛える事が出来たから。
それにーーー
『今の私の周りは、心の中を読んでも一緒なんですよ。表情に出てるんです。特に、中也君何かは』
紅「ふふ、確にそうじゃな。中也は昔から顔に出やすいからのう」
『そうなんですよね、単純なんです。でもきっと其処が中也君のいい所なんでしょうね』
そう言って私と姐様はまた笑い合った。
こうやって2人で笑い合えるのが、私は結構好きなんだ。
それから私達は時間を忘れ、喋り合った。
『今日は有難う御座いました。とても楽しかったです』
紅「私も楽しかったぞ。また暇が出来たら話そうぞ」
『はい!その時は是非とも』
そう言って私達は別れた。
そしてこの時、運がいいのか悪いのか、私の異能力【浮雲】が発動してしまったのだ。
紅(すまぬ、A………)
聞こえてきたその声はとても哀しそうな、紅葉姐様の心の声だった。
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作者名:松並ゆの | 作成日時:2018年2月26日 23時