双黒の愛弟子さん【文豪ストレイドッグス】 (ページ12)

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10.愛弟子と冗談ページ12

中「何だあいつは……」

太「中也の異能が弱ったんじゃないのかい?」

中「ああん!?んだと手前」

『ちょっと今喧嘩しないでください!ていうか、中也君怪我とかないですか!?』

あんな変な敵を目の前にしても､喧嘩を始めようとする2人。

どれだけ仲悪すぎなんですか……

中「別にこんくれぇ怪我なんかしねぇよ」

『よかった…』

中也君の返事にとりあえず、ほっと一息ついた。

けれど……あの敵は何だかおかしい。

中「どうする太宰」

太「どうするも何も私の異能無効化ならどんな攻撃も小指の先でちょちょいとｰｰｰ」

そう言った瞬間。太宰は勢いよく、相手の触手のようなもので後ろへと吹っ飛ばされた。

『太宰!?』

私は飛ばされた太宰の方へ瞬時に駆け寄った。

中也君は尚も迫ってくる触手に1発、重い拳を突き刺してこちらへ走ってきた。

中「手前、深手じゃねぇか…」

立ち上がる太宰を見て中也君は驚いた顔をして、そう呟いた。

それもそのはず。だって異能無効化ができる太宰がこんなになるなんておかしいから。

考えられるのはｰｰｰ

太「あの触手、実に不思議だ。異能力無効化が通じない」

中「馬鹿な、有り得んのかそんな事」

『だとしたら考えられるのは1つ、ですね』

私はそう言って太宰を見た。それに太宰は小さく頷いた。

太「あぁ、可能性は1つしかない。あれは異能力じゃないんだ」

中「はぁ!?本気か……不愉快な冗談だな、おい」

喋る私たちに尚も近づく、例の何か。

『本当、冗談だったらどんなにいい事か…』

これはため息もつきたくなるな。

中「異能力じゃねぇならありゃ何だ」

そう言った中也君の言葉は、私と太宰の心を代弁しているかのようだった。