そ、空から降谷零が！

父さん ページ27

YOUside
「…Aには悪いことをしてしまった、言えるわけがないだろう。彼女、紫苑が犯罪者だったこと。」
…は？
母さんは犯罪者だった？なら何故父さんは、黙っていたの？漫画の中の降谷くんみたいに私は勘違いをしていた？もしかしたら＿＿母が死んだのは私のせいかもしれない？
なんで。どうして。
入ってくる情報量がおおくて混乱する。
ぐるぐると先ほどの言葉が渦巻いて気持ちが悪い。
「話しすぎたな。好きに頼みなさい。私が払おう。」
「藤代さん。…その優しさがAを苦しめていることをお忘れなく。」
本当にそうだよ。栞ちゃんみたくなってるじゃない。
「…。」
なんで、
なんでそんな顔をするの？
悲しそうな顔。
いてもたってもいられなかった。
『本当にそうよ。』
すると、降谷くんが驚いたような顔をする。
ごめんね、つけてたわけじゃないんだけど。
「…A。」
嫌なのに。
嫌だったはずなのに。
今は自分が嫌だ。
『なんで、本当のことを言ってくれなかったの？』
「…すまない。」
私がほしかったのは謝罪なのではない。なんなら謝罪するのは私のほうだ。
「…藤代さん。話しあうべきですよ。」
降谷くん…成長して…(？)
「A、俺は先に帰ってる。」
『…うん。』
優しいな…
降谷くんは結局なにも頼まず帰ってしまった。

…兄さんは私と父のすれ違いを何とかしたかったのだろうか。左手の中指には私と同じデザインのものだった。

…人間関係の改善それが左手の中指に込められている意味だ。自意識過剰なのかもしれないけど、もしかしたら私のことを思ってくれてたのかな…？
私の薬指とおなじようなものだ。
ただの願掛け。
『どうして。本当のことを言ってはくれなかったの？』
声が震える。
「Aには知らないでほしかったんだ。」
『…え？』
もうそんな年じゃないのに！
「それに自 殺に追い込んだのは私のせいだ。」
あ、コナンの"月光"みたいな話だ。
「私とAに血の繋がりはない。だけど、」
だけど、？
「私の娘には代わりはない。」
父はきっぱりと言った。

まじない→←お忘れなく。

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す