そ、空から降谷零が！

お忘れなく。 ページ26

降谷side
『えっと、初めまして。僕は降谷零といいます。』
「初めまして。藤代だ。」
知ってるが。たしか藤代巧だったはずだ。
何のようだ？
Aを傷つけることは許さない。
「そう身構えなくていい。」
落ち着いている感じはAは似なかったんだな。
意外に短気だしな。
ふと左手を見ると指輪がしてあった。なにも埋め込まれていなかったが、その指輪には見覚えがあった。
『…Aと同じ指輪？』
Aは兄からもらったといっていた。
嘘っぽくないし、あんだけ憎んでいる父からもらったのだったらつけてるはずもない。
「…鋭いな。…ただの願掛けだ。」
…願掛け？
たしか指輪にはつける場所によって意味がちがうんだったな…。なんだったか。
「その…Aは最近どうなんだ？」
『…へ？』
コホン、と藤代さんが言った。
その顔は娘を大事に思う顔だった。
会って数分だが、この人がAのお母さんを陥れたとは思えない。
「Aはちゃんと寝てるか？ちゃんと食べてるか？」
『A本人の口からきいたらどうです？』
「…Aにとって私は悪い大人だからな。」
そして一拍あけて藤代さんは口を開けた。
「…Aには悪いことをしてしまった、言えるわけがないだろう。彼女、紫苑が犯罪者だったこと。」
…は？
『どういうことです？Aから聞いた話とは違う。』
「Aは幼かった。記憶も曖昧なのだろう。」
じゃあ彼女は勘違いを…？
まるで。漫画の中の自分のように。
「話しすぎたな。好きに頼みなさい。私が払おう。」
『藤代さん。…その優しさがAを苦しめていることをお忘れなく。』
「…。」

「本当にそうよ。」
怒っているようで泣きそうな声が近づいてきた。
『A…！？』
なんでここに！？

作者です！お気に入り登録50人突破ありがとうございます！もうすぐ藤代父娘の話に終止符が打たれます。お楽しみに！

父さん→←ちゃーんと探したんだろうね？

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