私も愛してね__sgi. ページ10
( sugai side. )
『 ねぇ、駿貴、今いい? 』
「 ん?どした? 」
結婚してから一年、Aがここまで真剣な表情をしてやってきたのは初めてだった。
Aが、俺の事を『 駿ちゃん 』じゃなくて、『 駿貴 』って呼ぶのは、俺の事を叱るときか、夜の行為の時か。
でも、怒られるような事をした覚えなんて1ミリもない。
そう、1ミリも。
Aは俺の隣に座って、30秒ほど黙ったあとに口を開いた。
『 ……駿貴は、さ。 』
「 うん。 」
『 …私の事だけを、いつまで愛してくれる? 』
「 ……どういうこと? 」
『 ほら、駿貴モテるじゃん、だからさ、他の子にいつか目移りしちゃう時がくるのかなーって。 』
「 え、なに?本当分かんないんだけど、俺不倫なんてしてないよ?本当に、信じて? 」
何を言い出すのかと思えば。
俺がA以外を見るわけなんてない。
「 もしAを不安にさせてたならごめん、これからはもっとAと一緒にいられる時間増やすし、でも、本当に不倫はしてない、それだけは信じて? 」
Aの手を取って真剣に話すと、Aは突然俯いた。
『 ……っふふ 』
「 え、何?笑ってるの? 」
Aの肩が小刻みに揺れている。
笑ってる?こんな時に?
『 ……駿ちゃん、焦りすぎっ……ふふっ… 』
「 え、ちょっと待って待って、意味分からなさすぎて意味分からない。 」
自分の言っていることの方が意味が分からない気もするが、こんな時に笑い出すAもなかなか意味が分からない。
『 駿ちゃんが不倫なんてしないって分かってるよ……こういうこと。 』
そして、Aは握っていた俺の手を、そっと自分のお腹に当てた。
「 は?え? 」
『 駿ちゃんがパパだったらモテるだろうなぁ。 』
そう言って、Aは優しく笑った。
『 だからさ、私だけを愛してくれるのも時間の問題だね? 』
「 …本当に……死ぬほど焦ったから!!!! 」
『 ごめんごめん、意地悪しちゃって。 』
「 Aも、この子も、同じくらい愛すに決まってんじゃん。 」
「 …本当に、ありがとう。 」
Aを優しく抱きしめた。
精一杯の感謝をこめて。
Aにも。
Aのお腹にいる、この世界に生まれてきてくれた一つの命にも。
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アルコン型(プロフ) - こんばんは!いつも楽しく読ませて頂いています(*^-^*)最高の作品ばかりで何度も読み返しています。厚かましいとは思いますが、リクエストしても大丈夫でしょうか?(´・ω・`) (2019年12月29日 22時) (レス) id: 7d2d99b638 (このIDを非表示/違反報告)
サツラ(プロフ) - Rika1722さん» うわー、嬉しいです( ; ; )素敵な夢が見られるような小説が書けていたら幸いです!! (2019年9月12日 15時) (レス) id: e4eef8aaeb (このIDを非表示/違反報告)
Rika1722(プロフ) - 最高です…。寝る前に読ませていただいています!いい夢が見れる気がして笑 (2019年9月12日 0時) (レス) id: a257df45f5 (このIDを非表示/違反報告)
サツラ(プロフ) - まっちゃさん» 嬉しいです(>_<)ありがとうございます!これからもよろしくお願いします! (2019年9月8日 23時) (レス) id: e4eef8aaeb (このIDを非表示/違反報告)
まっちゃ(プロフ) - 短編集も最高ですっ!これからも楽しみにしてます(^^) (2019年9月6日 21時) (レス) id: 6d7b57be72 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サツラ | 作成日時:2019年9月5日 22時