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いざ化粧品売り場に着くと、やっぱり女性で溢れかえっていて、男性の気配すらなかった。
『 伊沢さん、本当にいいんですか? 』
「 なんでさっきからそんなに遠慮してるの?いいって、大丈夫だよ。 」
『 ありがとうございます……。 』
「 女の子って、こんないっぱいある種類から選んで化粧してんのな。 」
伊沢さんは、目の前にあったシャドウを手に持って、そう呟いた。
『 好きな人には可愛く見られたいんですよ? 』
「 俺には分かんないなぁ、好きな子だったら化粧なんてしてなくても好きなもんは好きなんだと思うけどね。 」
本当にこの人は女の子の扱いというか、どうすれば喜ぶのかを知り尽くしていると思う。
「 で、Aはなにが欲しいの? 」
『 あっ、ちょっとリップ見たくて。 』
「 キスしたくなる唇って魅力的だよね 」と、付き合ってすぐの頃に伊沢さんが言っていたのを思い出した。
伊沢さんは多分大人っぽい女性が好き。
「 この人いいね 」って彼が言う人は、いつも色っぽい大人な女性だった。
だから、ちょっとだけ背伸びをして
テスターのいつもより赤いリップをつけた。
『 伊沢さん、これちょっと赤すぎますか? 』
「 んー? 」
私がそう問いかけると、私に背中を向けていた伊沢さんはゆっくりと振り向いた。
「 なんかいつも付けてるやつと雰囲気違うね? 」
『 ちょっと赤強めなんです……キスしたくなる唇、ですか? 』
「 うーん。 」
伊沢さんが少し首を傾げて悩んだあと、私の口元に手が伸びて、そっと唇に触れた。
「 もちろん、こっちも可愛い。 」
私の唇に触れた指で、少しずつリップを拭った。
「 …でも。 」
「 俺は、こっちが好き。 」
拭いきったあと、伊沢さんはそう言って、私の唇にキスを落とした。
「 俺はどんなAも大好きだから、無理に背伸びしなくていいからね? 」
私の考えを全て見透かしたかのように、彼は笑った。
『 …大好きです。 』
私が伊沢さんの背中に飛びつくと
「 …は?ちょっと、もう、A早く帰ろう、もう今すぐ帰ろう。 」
今日も、私に甘い伊沢さんなのでした。
君の眼鏡をかけない理由__wtnb.→←どんな君も好きだけど__izw.
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アルコン型(プロフ) - こんばんは!いつも楽しく読ませて頂いています(*^-^*)最高の作品ばかりで何度も読み返しています。厚かましいとは思いますが、リクエストしても大丈夫でしょうか?(´・ω・`) (2019年12月29日 22時) (レス) id: 7d2d99b638 (このIDを非表示/違反報告)
サツラ(プロフ) - Rika1722さん» うわー、嬉しいです( ; ; )素敵な夢が見られるような小説が書けていたら幸いです!! (2019年9月12日 15時) (レス) id: e4eef8aaeb (このIDを非表示/違反報告)
Rika1722(プロフ) - 最高です…。寝る前に読ませていただいています!いい夢が見れる気がして笑 (2019年9月12日 0時) (レス) id: a257df45f5 (このIDを非表示/違反報告)
サツラ(プロフ) - まっちゃさん» 嬉しいです(>_<)ありがとうございます!これからもよろしくお願いします! (2019年9月8日 23時) (レス) id: e4eef8aaeb (このIDを非表示/違反報告)
まっちゃ(プロフ) - 短編集も最高ですっ!これからも楽しみにしてます(^^) (2019年9月6日 21時) (レス) id: 6d7b57be72 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サツラ | 作成日時:2019年9月5日 22時