一石二鳥の二乗__kwmr. ページ25
痺れるような恋をしよう.【QK】
『 ( 破 ) kwmr. 』を読んでいただけると、より一層楽しめると思います!
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
( kawamura side. )
あの夏の暑さなんてものはとっくに通り過ぎて、寒くなってきたこの頃。
僕達は何も変わることなく、数ヶ月を過ごしてきた。
付き合って長いのに、未だに『 河村さん 』と呼んでくることも。
スーパーで食材を買い溜めするAも。
今日もまた、いつものスーパーへ向かっている時の事だった。
『 河村さん!見て!息白い!! 』
子供みたいにはしゃいで、『 はぁ 』と息を吐き出す彼女は、なんとも愛らしかった。
「 ほら、早く行きますよ 」
そう言うと、『 はぁい… 』と、少ししょぼんとしながら僕の後ろをついてくる。
肩が触れる距離に彼女が並ぶと、手と手がぶつかりあった。
触れたのは一瞬だったのに、彼女の手が冷えきっていることがすぐに分かった。
幸い、僕のコートのポケットには手袋が2つ入っている。
なぜ付けないか、って?…まぁ、特に意味はないけど。
『 寒いね〜 』と手を擦り合わせる彼女に手袋を貸すというのはシナリオ通り。
でも、それだけではつまらない。
だから、僕が貸したのは、右手の手袋だけ。
『 …右手、だけ? 』
「 …そう、僕は左手の手袋を付けます。 」
『 ……うん、ありがとう…なんだけど、何で? 』
「 空いた手は、どうなるんでしたっけ? 」
Aの左手と、僕の右手。
空いた手の指を絡めると、手も暖かい、Aと手を繋げる、しかもAの照れた顔を見れる、そしてしまいには心までもが暖かくなる。
これは、一石二鳥の二乗。
「 …なんと、恋人繋ぎができちゃいます、でしたっけ? 」
『 …河村さん、本当にそういう所ずるい。 』
「 まぁ、頭はいい方ですよ。 」
Aの小さな手は、ぎゅっと僕の手を握り返す。
マフラーに埋めたAの顔が赤いのは、きっと、この凍えるような寒さのせい、だよね?
・
726人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「短編集」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
アルコン型(プロフ) - こんばんは!いつも楽しく読ませて頂いています(*^-^*)最高の作品ばかりで何度も読み返しています。厚かましいとは思いますが、リクエストしても大丈夫でしょうか?(´・ω・`) (2019年12月29日 22時) (レス) id: 7d2d99b638 (このIDを非表示/違反報告)
サツラ(プロフ) - Rika1722さん» うわー、嬉しいです( ; ; )素敵な夢が見られるような小説が書けていたら幸いです!! (2019年9月12日 15時) (レス) id: e4eef8aaeb (このIDを非表示/違反報告)
Rika1722(プロフ) - 最高です…。寝る前に読ませていただいています!いい夢が見れる気がして笑 (2019年9月12日 0時) (レス) id: a257df45f5 (このIDを非表示/違反報告)
サツラ(プロフ) - まっちゃさん» 嬉しいです(>_<)ありがとうございます!これからもよろしくお願いします! (2019年9月8日 23時) (レス) id: e4eef8aaeb (このIDを非表示/違反報告)
まっちゃ(プロフ) - 短編集も最高ですっ!これからも楽しみにしてます(^^) (2019年9月6日 21時) (レス) id: 6d7b57be72 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:サツラ | 作成日時:2019年9月5日 22時