恋と呼ぶにはまだはやい.

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『 ふくらさん。 』

「 んー？ 」

『 ここ、分かんないです。 』

「 なに、数学？僕、苦手なんだよなぁ。 」



『 バリバリ理系だったくせに何言ってるんですか。 』



そう言いつつも、寝転がりながら作業していた体を起こして、私の元に来てくれた。


いつもふくらさんは、" 真面目 " とか " しっかり者 " とか、そういう風に見られてるけど、実は少年っぽいところもある。

それは、私たちだけしか知らない特権。
カメラの前では豹変するアナウンサーみたいな感じ。



「 川上とかの方が分かりやすく説明してくれるんじゃない？ 」

『 川上さんには振られました。 』

「 あはは、振られちゃったか〜 」



川上さんには一番に頼んだけど、「 忙しいから無理 」と、スマホを弄りがら食い気味に断られた。



「 分かった、問題見せて？ 」


そう言って、グイッと目の前に近付いてきた。

ふくらさんの指、細長くて綺麗なんだよなぁ。
肌とか白くて、キメ細かいし…。



ふくらさんの顔をぼーっと見つめていると、ふくらさんの手が私の目の前で左右に揺れていた。



「 …ちょっと、Aちゃん聞いてる？ 」

『 ……へっ？！すみません、もう一回お願いします！ 』

「 もう、仕方ないなぁ。 」



また、ふくらさんはへらっと笑った。
やっぱり、私はこの笑顔が好き。





・




・




・


「 …で、こうなるってこと。 」

『 なるほど！分かりました！ありがとうございます！ 』

「 お役に立てて何よりです。 」



私の頭に、ポンっと手を置いた。
ふくらさん、知ってますか？

『 頭ポンポン 』は、女子がときめく男子の行動ランキング上位なんですよ？



きっと、無意識なんだろうけど。

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