( 香 ) kwkm. ページ24
私は、拓朗の匂いが好きだ。
出会った時から変わらない、ほんの少し甘い匂い。
でも、拓朗の家にある香水を付けても
どうしても拓朗の匂いにはなれなかった。
拓朗だけの、特別な匂い。
・
・
・
「 …は？なんでおるん。 」
『 突撃訪問、ってやつ？ 』
突然、拓朗の家に行くと
拓朗は気まずそうに家の中を見た。
「 …汚いで。 」
『 いつものことじゃん。 』
「 うっさいわ。 」
そう言うと、拓朗はこつんっと私の頭を小突いた。
部屋に入ると、「 その辺座ってて。 」と、適当に促されて、拓朗はコーヒーを淹れにキッチンへ向かった。
床には、大学の資料やら参考書やら
たくさんの物が積まれていた。
ふと、机に目をやると、灰皿と緑の箱の煙草が一つ。
『 拓朗、 』
そう、名前を呼ぶとひょこっとキッチンから顔を出した。
「 なに？ 」
『 これ。 』
灰皿を指さすと、拓朗の顔は少し引きつった。
「 …うわ、ごめん。 」
『 拓朗、煙草吸うの？ 』
「 …まぁ。 」
私の目を見ずに、そう答えた。
「 A、煙草嫌いやろ。やから、Aと会う前は吸わんようにしてたのに、いきなりくるから……。」
拓朗の言葉はだんだん尻すぼみになっていった。
「 どうぞ。 」と置かれた2つのカップには、拓朗のコーヒーと、ミルクがたくさん入ったコーヒーが入っていた。
『 ありがと。 』
隣に座った拓朗からは、ほんの少しのコーヒーの匂いと、いつもと甘い同じ匂いがした。
「 ごめんな。 」
申し訳なさそうに謝った。
『 謝らなくていいよ。
だって、私が煙草嫌いだから控えてくれようとしたんでしょ？』
「 うん。 」
『 でも、これからは普通に吸っていいよ？ 』
「 …え、でもAめっちゃ煙草嫌いやったやん。」
『 うーん、前はね。 』
そう言って、私はコーヒーを一口すすった。
「 …前は、ってどういうこと？ 」
『 内緒。 』
「 何それ。 」
私が同じ匂いになろうとしてもなれなかった拓朗の匂い。
同じ香水をつけても、物足りなかったのは、拓朗の煙草の匂いが足りなかったから。
私は静かに拓朗の首元に顔をうずめた。
『 相変わらず、いい匂い。 』
「 なんか変態くさいな。」
拓朗は笑った。
私の好きな拓朗の匂いは
香水と、少し混じった煙草の匂い。
前までは大嫌いだった煙草の匂いも
少しだけ好きになれそうな気がした。
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サツラ(プロフ) - ゆずさん» 最後まで読んでいただきありがとうございました！なるほど！自分自身、fkrさんはすごく苦手分野で、ご期待に添えるかどうかは分かりませんが力の限り頑張ってみます！ (2019年8月17日 1時) (
レス) id: e4eef8aaeb (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - 短編完結おめでとうございます！どの作品も楽しませて読ませていただきました。もしよければ、fkrさんの長編が読んでみたかったりします。！次作も楽しみにしています。 (2019年8月16日 19時) (レス) id: 8e559af428 (このIDを非表示/違反報告)
アクアべあ(プロフ) - サツラさん» とても素敵な作品でした…！私のリクエストを書いて下さり、ありがとうございました！！ (2019年8月10日 14時) (レス) id: 10db80d5ed (このIDを非表示/違反報告)
サツラ(プロフ) - 蓬さん» リクエストありがとうございます！プールといえば水着！という私の勝手な解釈であんなお話になったのですが、大丈夫だったでしょうか……？これからもどうぞよろしくお願いします^^ (2019年8月10日 13時) (レス) id: e4eef8aaeb (このIDを非表示/違反報告)
サツラ(プロフ) - アクアべあさん» リクエストありがとうございます！こんな感じで良かったでしょうか( .. )伊沢さんがでろでろに甘やかすというより、2人がいちゃつく感じになってしまいましたね……。これからもよろしくお願いします！ (2019年8月10日 13時) (レス) id: e4eef8aaeb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：サツラ | 作成日時：2019年8月1日 14時
