なんで、 ページ33
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結局、岩泉達はお見舞いの品と言って私が毎日のように飲んでいたカフェオレを置いて帰っていった。
ずっとカフェオレは好きだった。
それを知ってた、というか見てたなんて、なんか、うん。
嬉しい、のかな。
…ッ、
『ゲホッ…ッハッ…』
途端に溢れた咳。
本当は、喉が渇いて仕方がなかった。
咳をどうやって我慢するかだけを考えてた。
会話だって、出来るだけしないようにした。
なんだか、心配をかけたらいけない気がして、
小さい子供もいるから、我慢しないといかないなと思って、
結局、溜まっていくのはストレス。
なんで自分だけこんなにキツい思いをしなきゃいけないんだろう、とか、なんで深雪じゃなくて私だったんだろうとか思ったりして。
窓ガラスに映ったのは、やつれてしまった自分の姿。
入院したての時よりも確実に痩せているのがわかる。
『ハッ…ッ……ヒュッ…ア…』
カフェオレ、飲みたい。
喉が液体を欲しがってる。
ストローを勢い良く刺したからか、カフェオレがじわりと溢れ出てきた。
でも、今はそんな事だって構わない。
ゴクリ、と飲んだつもりだった。
あれ、飲み込めない?
え、どうして…
癌の症状の1つ
【物が飲み込みにくくなる】
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作者名:浅葱。 | 作成日時:2017年7月21日 18時