死にたいなって思ってた。【ハイキュー】 (ページ32)

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高揚ページ32

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「ねーちゃん!」

と大きく響いたその声で、目が覚めた気がした。
仁王立ちしているその子の隣には優しい表情を浮かべていた彼の姿。

「オレ、覚えてる!?オレ岩泉海斗!」

キラキラとした目で、まるで犬みたいに私のいるベッドに近寄って来る海斗君。
その背中にはしっぽが見える。
ああ、子供ってこんなに可愛かったっけ、

『もちろん、覚えてるよ。退院したんだね、』

「突然悪りいな、紗倉。海斗がお見舞い行くっつって聞かなくてよ。」

そう言って頭を掻く岩泉は、兄そのものの表情だ。
本当の兄弟みたい。
従兄弟には言えないなあ…

「うっせー!兄ちゃんも行きたかったくせに!」

その言葉を聞いて、目を見開いて頬を少しだけ赤めた岩泉を見て、
私は、

「あ!?海斗ちょっとお前は黙ってろ!紗倉が混乱するだろーが!」

少し、嬉しく思ってしまった。
あれ、私は、及川の事がすきで、

…いや違う。
これは、深雪がいつも周りからされている事。
トクベツでもなんでもない。

ねえ、深雪。
心配されるって気持ちいい事だね。
なんか、こう身体の芯から震える感じがする。

ああ、ああ__……

『たまらないわ。』

ボソリと呟いた言葉は騒いでいる彼らには届かない。
看護師の誰かが“院内ではお静かに”と注意する言葉さえ。

私は今、岩泉のココロの中心に立ってる。
欲が満たされていくような、そんな感じがした。

まるで、昔に戻ったみたいで、気持ちが高ぶって、もう、なんか、

ニヤケが止まらない。

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