醜い私 ページ16
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やばい、言い過ぎたなんて思っている間に及川達は帰ってしまったらしい。
残っているのは、深雪だけ。
深雪は、何がしたいの。
私の傷を引っ掻き回すような事ばかりして。
“他人の不幸は蜜の味”
って事?
はは、悪趣味だね。
いつからそんな子になっちゃったの?
もう、駄目だなあ。
「お姉ちゃん…怒ってる……?」
ぽつり、と呟くかのように零した声。
ちら、と横見ると目に涙を溜めて私を見ている深雪の姿。
なんか私が泣かせてるみたいじゃん。
嫌だなあ、
『ううん、別に。ただ、なんで及川に言ったのかなってさ。』
「だって…」
そこまで言って口をつぐむ深雪。
ぱくぱくと口を動かしているあたり、喋る気はあるみたいだ。
「及川も、私も、お姉ちゃんも、仲間だから。」
「いくらお姉ちゃんが嫌だって言っても私たちは、仲間だよ。だって、バレー部でしょ?」
仲間、そう。
深雪の意識的には、まだ仲間だったのね。
でも、ごめん。
私はもう、仲間だなんて思ってないよ。
ごめんね。妹の気持ちすら尊重できないの。
目が少し潤んでいるようだ。
ふと見た窓ガラスに映っている私の顔はとても醜い。
深雪と似たような顔付きなのに、こんなにも違うのはなんで?
…性格の問題だからかな、
私は性格すら醜いから、顔にも出るのかな。
性格醜いから、嬉しい事も嬉しいって言えないし、素直になく事すら出来ないの。
本当は、仲間だって言われて嬉しかった。
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作者名:浅葱。 | 作成日時:2017年7月21日 18時