【WT】ずっとお慕いしております【shk】 (ページ44)

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第四十二話ページ44

shk視点

はぁ、と溜め息が出る。いくら雰囲気がそれっぽいからって、いきなりキスすんのはダメだろ…。また溜め息が出た。
アイツが寝ていた場所にまた寝転ぶ。少し、ほんの僅かアイツの、Aの匂いと温もりが残ってる。

『変態みたいだな、俺』

自嘲しか出て来ないのはこの姿が滑稽すぎるから。

『好きだよ、A』

そんな俺の呟きは、暗い部屋に溶けて消えた。

貴方視点

ボーッと、中庭で私は座っている。昨日のことを思い出すと、胸が熱くなる。昨日、あの後

『か、えります！』

シャークんの胸板を押して、ベッドから急いでおりて、靴を履く。勢い任せとは言え、これ以上にここにいたら、非常に良くない。

shk「ちょ、おい！」

止めてくれる声を無視して、私はその場から立ち去った。無我夢中で、足が痛いことも忘れて、自分の部屋に向かって走った。

息が上がる。私は、婚約者がいる方に、なんてことをしてしまったんだ…！

そんな感情がグルグルと胸の中を疼く。感情任せで行動してはいけない、それは父から教わったこと。なのに、それなのに、抑えきれなかった。

『…明日からは、控えなくては。』

また、「いつもの日常」に戻らなくては。夢を見るのは、もう今日だけでいい。

そう決心して、迎えた今日。幸いにもシャークん様には会っていない。足は薬のおかげか、痛みが大分引いてきた感じがする。

「足はどう？」

『…大分、良くなりましたよ。きんとき様』

いつ隣に来たのか、気配もなく隣に彼、きんときが座っていた。

kn「なんか考え事でもしてた？俺の存在、気付いてなかったみたいだけど」

尋ねられるのはいつもならすぐに気付くから。

『いえ、特に何も。きんとき様はどうかされましたか？』

kn「俺？俺は休憩。書類し終わったし暇だったから」

『そうでしたか。』

そこから、妙に長い沈黙が続く。いつもなら、私が話題提供する側では無いことは知られてるから、彼が何かを話し始める。こんな風に2人で黙っていることなんて、ほとんどない。

『あの…』

kn「A」

どうしようか悩んだ挙句、声が重なって顔を見合わせる。

kn「先にそっちからでいいよ」

『いや、話すこと無かったからどうしたのか聞こうと思っただけ』

kn「そっか。」

きんときは前を一度だけ向くと、手を組み直してこちらをまた見た。その視線は少し鋭いけれど、いつもと変わらない。

kn「Aはシャケのこと好きなの？」

心臓が、ドキリと音を立てた。