【WT】ずっとお慕いしております【shk】 (ページ39)

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第三十七話ページ39

kn視点

Aは昔から、色んな所が強くて弱かった。

従者としては俺が知る誰よりも一流で、父さんも認めていた。だから、俺が家を出る時も止めてたんだと思う。Aは父さん達の信頼が高かったから。

でも、女の子としては弱過ぎた。ずっと従者として生きてきたから、女の子らしい事をしたのをずっとそばに居た俺は見た事がなかった。

だから今も、感情の制御が出来なくて泣いてるんだと思う。Aにとって「好き」という感情は未知なものだから。

『俺はいいよ。何となくわかってたから。だから、泣かないで』

表情は変わらない。声も一切あげない。けれど、流れる涙を拭うこと無く、Aは泣いていた。

「本当に…ごめんなさい…ｯ」

顔を見せたくは無いのか、両手で顔を覆うAを抱き締める。Nakamu達には視線で「あっち行け」と意を込めて睨む。察したのかみんなも、シャークんも渋々、建物の中に戻った。

kn『大丈夫、大丈夫。Aは悪くないから。今は、気持ちの整理がついてないだけだから』

頭を撫でながら宥める。顔を俺の胸にうずめているのは、本当に見られたくないんだろうなと思う。でも俺は慰める事しか出来なくて、こういう時、恋人だったらもっと慰められるのかな、なんて思ってしまう。

貴方視点

どれくらい泣いたのだろう。

擦りすぎたのか目元は痛く、喉はカラカラだ。

kn「はい、これ」

戻ってきたきんときに渡されたのは濡れタオルと水が入ったペットボトル。素直に受け取って、目元に当てる。水は今要らない。

『…ごめんね、迷惑かけて』

kn「大丈夫。分かってたから」

きんときは昔から洞察力が凄くて、私でも気づかない小さな変化も気づいてしまう。…昔は、まだ私が幼女と呼ばれる頃は、そういう所が好きだったんだと思う。

『戻らなくていいの？』

kn「今離れたらAが色々言われそうだから、もう少しだけ」

『そっか。』

話はしない。けれどそばに居ると落ち着くのは昔からなのだ。でも、それでも、私はあの方を、好きになってしまったのだ。

叶わない恋がこんなにも辛いなんて知らなかった。

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続編に行きます。

まだ行きませんが確定で行きます。色々修羅場(仮)を用意します。