【WT】ずっとお慕いしております【shk】 (ページ32)

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第三十話ページ32

どこかボーッとしているきんときは私の横を通り過ぎて行った。

『あ、この前の中庭で！』

場所を伝え忘れていたので振り返って伝える。すると彼は、柱にぶつかっていた。

kn「え！？あ、うん。わかっ、た」

見られて恥ずかしいと思ったのか、彼は顔を抑えていた。けれど隙間から見えるその顔は赤く染まっている。思わず、笑みを零す。

『緊張しすぎ。ちゃんと仕事しなきゃダメよ？』

kn「…ッ、わかってる、から。Aはきりやんの所行ってきなよ。」

『うん、またね。』

すぐそこにある医務室に足を進める。きんときはその後どうなったかは分からない。仕事に向かっていたらいいのだが。

kr「本当、何したらそんな腫れるの？」

呆れ気味にきりやん様は足を見ながら言う。安静にしていた筈なのに、打ち所が悪かったのか更に腫れている。

『温室で転んだだけなのですが…。』

kr「あー、もしかしてレンガ出っぱになってるとこ？」

『はい』

kr「多分てか、原因それだわ。レンガだから硬いから絶対怪我する人いるんだよね、特にメイド。今度頼んで直してもらうように言っとくわ」

『そうして下されば怪我をする方が減るので有難いです。』

それからは特に会話のような事はしなかった。私はただ、黙ってきりやん様に治療されている足を見ている。

kr「きんときから告白されたから？」

脈略のない、いきなりの言葉は思考を止めるには十分で、慌ててきりやん様の方を見る。

『いえ、本当に自分で転んだだけですよ。』

kr「それならいいけど。自分で言うのもなんだけど、俺らそれなりに人気みたいなのあるから、虐められたかと思った」

『確かに幹部様は人気ですから、そうなってたのかもしれませんね。』

多分ならなかったのは、侍女が私を慕っていてくれたから。

kr「今度からは気を付けてね」

『はい、ありがとうございます。』

包帯を巻き直してもらい、私は医務室から出た。

「Aさん、本当に大丈夫なんですか？」

戻って仕事をしていたら他の侍女に尋ねられた。

『えぇ、腫れてるだけなので。』

いつものように返すが、痛いことは痛いのである。さっきからじんじんと、熱を帯びたように足が痛い。最近怪我なんてしてこなかったから、感覚が鈍っているのだろう。
昔は、女とは思えない程に傷を付けていたと言うのに。

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多分あと二、三話できんときさんとの関係性とか色々明かされると思うのでお楽しみに