【WT】ずっとお慕いしております【shk】 (ページ24)

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第二十二話ページ24

『見たことない花が多いね』

kn「この庭園、色んな国からその国にしか生えない花の苗を輸入したりしてるんだって。だから特産物にはそういうのが多いよ」

きんときの豆知識を聞きながら、私はこの庭園を満喫していた。植物を見ると心が落ち着くと言う理由で、元からよく鑑賞などはしていた。だからこの空間はとても安心する。

『凄いね、きんときは。色々知ってる。』

kn「学んだし、教えてもらってるからね。Aも凄いと思うよ。侍女として優秀だって聞いてる」

『私は慣れてたから』

これは私にとっての常識。だから彼は悪くないのに、手を握る力が少しだけ強くなった。

『きんときのせいじゃないよ。だから、大丈夫。』

それに応えるように私も握り返せば、何処か暗い表情をしていた彼は笑った。

kn「…やっぱり、Aのそういう所が俺は好きだな」

なんて事を平然と言うから、それに返せる言葉なんて分かりゃしない。彼はやはり、一枚上手だ。

『よくこんな店知ってたね』

kn「俺のとっておき」

丁度いい時間だったので、何処かに寄って昼食をとる事になった。彼に連れられて向かったのは、隠れ家的な所で喫茶店の様に落ち着いているイタリアンなお店だった。味は然ることながら、店員も優しい雰囲気でまた来たいなと思える店だった。

『出てないって言いながら出てるんじゃん』

なんて笑えば、きんときもつられたように笑う。…なんだか昔に戻った気がして楽しい。

kn「次はあっちね」

指をさした先には大きなドーム型の建物があった。

『プラネタリウム？』

kn「うん。今期間限定の公演やってるらしいから」

『楽しそうね。涼めるし』

kn「最近暑いもんね」

まだ蝉時雨が響いていて、太陽が照っている今日はとても暑い。それを考慮して涼める場所を選んでくれたのだろう。

『じゃあ早く行こう』

kn「熱中症になっても困るしね。」

暑い日差しを肌身に受けながら、その建物内に入る。中は冷房が効いていてとても涼しい。

kn「大人２枚分下さい」

「かしこまりました。カップル割がございますが、ご利用されますか？」

良かれと思ってだろう。だってこうやって手を握っている男女は、勘違いされても仕方がない。

kn「じゃあ、それお願いします」

慌てて彼の方を向く。カップルではない、筈だ。デートはしてるけど。

kn「今日だけ、ね？」

『…今日だけだから』

やっぱり私は、昔から彼に弱い。